駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。駒澤大学とは関係ありません。

個別面談の季節

夏期講習会の前というのは多くの塾で個別面談をおこなう時期です。 その際、面談担当者の手元には成績推移の表があり、偏差値などのデータを見ながら話をすることになるはず。 

本日のテーマ『データは嘘をつかない、しかしデータに嘘をつかせることはできる。』 

 

この時期に個別面談が集まるのは「夏期は成績向上に重要」だからですが、塾運営の立場から見れば転塾や退塾などの多発する危険な時期だからでもあります。 

対塾を決断する原因は当然ながら成績不振が最も多いので、多くの塾で単元の復習を組み込む夏期講習会は生徒と保護者から見れば環境をリセットする良い機会に成り得る訳です。 

 

面談担当者から成績を向上させるための具体的な施策やその際の留意点などが具体的に示されれば良いのですが、偏差値などの数字を中心に立て板に水な調子で話をされた場合、ちょっと注意したいです。 

『データは嘘をつかない、しかしデータに嘘をつかせることはできる。』

 

たとえば面談担当者がこんな話をした場合

「いやぁ、理科の5月と6月の偏差値はちょっと伸び悩みましたけれど、これは多くのお子様が苦手としている計算単元が続いたせいで・・・」

この短い文章の中に嘘がまじっていることに気付けるようになれれば、一流の保護者(?)です。 

 

偏差値については2018年6月6日に「叱ると褒める」で書きましたのでご参照願います。

 

上の担当者からの話の中でおかしいのは「多くのお子様が苦手とする」単元だったから本人の偏差値が低かったと言っている部分です。 生徒の偏差値というのは単に母集団の中での相対的な位置を数字にしたものですから、全体の得点が低いなら本人の偏差値は変わらないはずです。 このデータに対して面談担当者がすべきだったのは、計算単元を苦手のまま月例テストに臨ませてしまったことへのお詫びと、具体的な向上策の提示です。

 

偏差値についてもうひとつ注意したいのは、2とか3の向上をおおげさに強調した場合です。 その理由は上記エントリーの中で書きましたように、正解の数ひとつふたつで偏差値は2とか3は平気でぶれるからです。 子を褒めるときには2とか3の向上は意識的に利用したいですが、事実を追うべき大人が使ってはいけません。

 

逆に偏差値が上がりも下がりもしなかった場合、これは改善が無かったのではなく「同じ学力の生徒と同じレベルの学習はできた」ということであるのも念頭に置いて欲しいです。 ましてや「5」上げるというのは数字で見れば50から55で簡単そうに見えますが、実は大変なことなのです。

 

昨年の四谷大塚の第2回合判男子のデータを例にしてご説明します。 偏差値を50から55に上げるということは4科目の得点で260点から300点に40点上げることに相当します。 そしてそれを順位で見ると、7000人の受験者の中で3559位から2196位に上がることに相当します。 つまり1363人を追い抜かす勉強をしなければいけない訳です。 こうみると大変なことだと実感できますね。 

上げるのは大変なこと、だけどちょっとしたことで変動する、それが偏差値の推移を見るときに重要な留意点です。 

 

今日は偏差値というデータを使って、知識をしっかり持ち、相手の意図を考えなければ判断を誤るということを書きました。 

 

アニメのオープニングにこんなフレーズがありました。

 『 たった一つの真実見抜く、見た目は子供、頭脳は大人。その名は、名探偵コナン!』

これ、嘘です。

たったひとつなのは「事実」です。

その「事実」から送り手は自分に都合の良い部分だけ選びます。

さらに相手に伝えるときに自分の意見を事実に混ぜ込みます。(時には意図的に)

受け手は相手が発信した情報を100%は受け取れません。

そして受け取った情報から自分の中に受け入れたものが「真実」です。

 

「事実」はひとつ

「真実」は受け取る人間の数だけ