参考書に載っている<日暦算>の解説はミスをしやすくて、不親切なものです。 というわけで実戦的な解法を 成城学園 平成22年(2010年)第1回入試の大問1の(6) を例題として解説します。
【問題】
ある年の5月2日が水曜日でした。その翌年の1月21日は□曜日です。
【解説】
参考書に載っている一般的な解説は、こんな感じのものが多いです。
5月2日から翌年の1月21日までの日数は、( 31 - 2 + 1 ) + 30 + 31 + 31 +30 + 31 + 30 + 31 + 21 = 265(日)であり、265 ÷ 7 = 37余り6 より、これは37週間と 6日となる。 また、余りの 6日の曜日は、[水、木、金、土、日、月]だから、1月21日は 月曜日 とわかる。
★ミスをしやすい点★
計算する式を単純に載せただけです。 もちろん式そのものは正しいのですが、この問題を解けなかった生徒がこれだけを見て解き方を覚えると、おそらくミスを連発します。
★不親切な点★
ここで計算した265(日)というのが、265(日後)なのか265(日目)なのかを示していません。 まぁ、ほとんどの解説は(日目)を使っており、ここでも5月2日から数え始めて翌年の1月21日が何日目にあたるかという計算をしているのですが、(日後)と(日目)の認識無しに解法を丸覚えさせると、なんで1を足しているかという理由の理解が抜け落ちます。
私が教えている解法は以下のようなものです。
最初の行では1月21日が前年の5月の何日に相当するかという計算をしています。 やっている足し算そのものは普通の解き方と同じですが、一ヶ月ずつさかのぼって書いて行くことで勘違いを防ぎ、見直しを容易にしています。
計算は日数の算出と曜日を調べる割り算を分けて、265の縦の位置をそろえて書いています。 割り算の余りにはその数だけ「ひげ」を生やして曜日を書き込みます。
ちなみに、割り算がぴったり割り切れて余りが出ない場合に考えが止まってしまう生徒がいます。 その場合、あえて余りに7と書いて7本のひげで曜日を書かせると理解してくれます。
一点鎖線から下の青い字は、理解させるために授業でしている説明です。
まずスタートの5月2日から一週間ちょっとの表を書いて、曜日と(日目)と(日後)の関係を見せます。 この表で生徒の意識に残したいのは次のようなことです。
・ 1を足すのは(日目)の計算をするため
・ (日目)で計算するときはスタートの曜日から書く
・ (日後)でも計算できる
表の作成に続いて(日後)の計算を同じ問題でさせて、<日暦算>の解き方を理解させます。
<日暦算>の単元では数年をまたいだ問題もありますので、<うるう年判定>はしっかり覚えておきましょう。
あとはカレンダーを使った「ある曜日の日付の合計から曜日を考える問題」を解けるようになれば、<日暦算>の単元はOKだと思います。