<消化>に関するテキストの記述は、どれも異常に詳しいです。 作る側が十分条件を念頭に作っていますので。 では覚えるべき知識の必要条件の範囲ってどこまで?
テキストの<消化>単元を見て、情報量が多いけれど本当にこれが全部出題されるの?と思わない人はいないのでないでしょうか。 この単元は、まず幹になる知識を身に付けて、そこに枝葉となる知識を(必要に応じて)追加して行くべきです。
私が考える知識の幹は「三大栄養素の何が、主にどこで消化されるか」です。 それを生活体験ともひも付けて覚えるために、次のフレーズを生徒に暗唱させています。
ご飯かみかみ甘くなり、お肉食べ過ぎ胃が痛い、背脂ラーメン ピーゴロに
どこで何が消化されているかをしっかり覚えられれば、それを何がしているか、消化されて何になるか、吸収されるのは毛細血管かリンパ管か、それはなぜか、といった知識を次から次へとくっつけて行く覚え方をできます。
<消化>単元では、でんぷんを用いた実験が頻出問題です。 酵素に対する温度の影響を考察させる問題です。 これも実体験とひも付けるのが有効です。 「たまごかけご飯」は生の卵や冷蔵庫にしまっておいた卵なら作れるが、一度ゆでてしまうともう作れない、という事例で覚えさせます。
たんぱく質の熱による不可逆的な変質に関しては、体温計のメモリが42度までしか無い理由や、ミツバチがアシナガバチを撃退する方法などの話もすると定着が良くなります。
体温計:摂氏42度を超えると生命維持に必須のたんぱく質が固まってしまうから。
ミツバチ:アシナガバチの方がわずかに高熱に弱いことを利用して、おしくらまんじゅうで焼き殺す。
<消化>に関する学習からは、<情報の冗長化>を使った暗記の促進もできると更に良いですね。 小腸と門脈でつながった肝臓のはたらき、水溶性の栄養が血液中の血漿に溶けて運ばれることから血液の組成などに関する話もできると知識同士がひも付いて、思い出しやすくなります。