かなり手ごたえのある濃度の問題です。 <しのぜ表>と<濃度てんびん>を使って解いてみました。 渋谷学園渋谷の2011年(平成23年)第2回試験 大問1の(5)
【問題】
2%と7%の食塩水を 2:1 の割合で混ぜ合わせ、さらに水150gと8%の食塩水□gを加えると3%の食塩水500gができました。
【解説】
登場する食塩水は5種類。 それぞれに「食塩の重さ」「濃度」「全部の重さ」という項目が有り、問題文から与えられている数字が比の数字も含んで10個にもなります。 混合も2回していますので、2:1で混合した分も考えると食塩水は6種類。 一度に人間が取り扱える情報量である「マジック・ナンバー・オブ・セブン」を完全に超えています。 と言うことは、紙の上に書いて情報を整理するという作業が必須だということ。 この問題でのお薦めは<しのぜ表>です。
私は生徒によく 「問題文と茄子の花、千に一つの無駄も無し」と言います。
(ほんとうは「親の意見と茄子の花、千に一つの無駄も無し」です。)
問題文に含まれる情報は全て使い切るように書かれているのが普通なので、解き方に迷った時は「まだ使っていない情報が残ってないか」を探しなさいという意味です。 つまり、問題を表にして考える時も全ての情報を表に織り込むという姿勢が大切です。
甲:しのぜ表に問題文に登場する数値を書きました。
乙:濃度てんびんを使って2:1で混合した濃度を求めました。
丙:計算した濃度と最後の500gの食塩の重さを書き足しました。
(実際に解く場合には最初の表に書き足して行きます)
ここで表を睨みながら次の一手を考えます。 要は表の空欄の中に数字を埋められる場所は無いか探す作業です。
丁:この形が思い付けるかが、この問題のポイントです。
思い付くためのルートは2つあります。 ルート1:最後の15gがどこから来るかという事を考える ルート2:濃度が3個分かっていて最後の重さが与えられている問題を解いた経験からてんびんの形を思いつく 他にもあるかな? いずれにせよ「もし150gの水が無かったら」という仮定と、その場合の最終濃度を計算しなおすという発想が要求されています。 良いひねり方です。 こういう問題は好きです。 自分で解いていて解き方に気付いた時、かなり気持ち良いですし。
戊:途中の濃度が分数になるので食塩の重さを計算する解法では計算がかなり面倒になりますが、てんびんなら比の数字を整数に直せますので暗算でもできる計算で答えを出せます。
よって、8%の食塩水の重さは 50g