理科は受験日までに膨大な知識を覚えなければなりません。 受験参考書を見ると「えぇ?11歳の子どもがこんな事まで覚えるの?」と驚くような知識まで載っています。 でも全部なんて覚えなくて良いです。 ごく一部を覚えれば十分です。 では必須の項目をどうやって選ぶ?
念頭に置くべきことは、受験参考書には必ず過大な量の情報が載っているということです。 利用者は受験に出題された知識が載ってなければ怒りますが、出題されなかった知識が載っていることに対しては、無駄じゃぁ!と怒ったりしませんよね。
では必須の項目をどうやって選び出せば良いか?
今日書く話も、生徒とのやり取りの中で気付かせてもらった指導法です。 四谷大塚の予習シリーズを例として取り上げましたが、他の参考書でも同じ方法が取れます。 また、理科以外の科目でも使える方法だと考えます。
ある時、小5の生徒が質問に来ました。
生徒「理科の暗記がうまくできません。覚えることの量が多すぎて一週間では終わりません。」
私 「予習シリーズは◎◎クラスの生徒も使う教科書だから詳しすぎるんだ。 重要と思うところに下線を引いて、そこだけ覚えるようにしてごらん。」
「わーい」って戻って行く生徒の背中を見ながら、さて来週になってどんな下線を引いてくるか楽しみだな、最初っから適切な選択はできないだろうけれど2、3回の指導でできるようにさせられると嬉しいな、などと考えていたのですが。
翌週、テキストを見せてもらいましたら、9割を超える行に下線が引かれてました。 生徒いわく「だってママが教科書に載ってることは全部たいせつな事だって言ってた。」
あぁ私の指示が悪かったんだと深く反省して、あらためて具体的な作業を指示しました。
・ 授業の後に一回、テキストの単元を音読してみる。
・ 要点チェックのページで登場したことばに下線を引く
・ 演習問題集の「まとめてみよう!」に登場したことばに下線を引く
・ 確認テストに登場したことばに下線を引き、正解できなかった言葉に!マークを書く
とりあえず、その週の下線引きはこれでおしまい。 下線の本数が多いところは何度も質問されるような重要な言葉です。 週テストの前にはそこをしっかり覚える、これなら負担は大きくないはず。 週テストで出題されたことに下線を追加し、正解できなかったことに!マークを付ける、これで一通りの作業が完了します。
組み分けテストの前には下線の本数の多いところ、!マークの付いているところから優先的に見直しましょう。 これなら無理なく勉強できる量だと思います。
他の科目を含めて組み分けテストの準備が順調にすすみ、理科の得点をあと一段上げたい場合は、演習問題集の「練習問題」や「応用問題」を演習して、下線や!マークを追加する形で勉強をすすめると効率が良いです。
保護者が勉強の手伝いをする場合、最初の音読からいっしょにやりましょう。 この音読で、どこに何が書かれているかというマップを作る作業をしています。 どこに何が書かれているかという位置に関する情報は意外と簡単に頭に残ります。 およそのマップが持てると下線を引く場所が容易に見つけられるだけでなく、記憶の冗長化により思い出す際の手助けにもなります。
下線をどこに引けば良いか分からない場合、無理して引かず、とばしてしまって良いと考えます。 ここで書いた方法は「知識の暗記」に関するノウハウですから、計算問題や推理する問題とは相性が良くないです。 無理して下線を引いて焦点がぼけるより、9割で大丈夫という気持ちの余裕を持ちましょう。
予習シリーズに下線を引いた例として小5のテキストに作業をした実例を探してみたのですが、1ページの中に数箇所しか下線が無くて画としてさみしいのでやめました。 逆に言えば、絶対に覚えなければいけない知識って、それだけしか無いのです!
と言う訳で、予習シリーズ小6上巻の第3回「地球と宇宙」から28ページの下半分を例として載せます。 小6の上巻は単元の再確認がメインなのでかなり濃縮された内容なのですが、それでも必須の知識ってこれだけなのです。
必須の知識を勉強して行く方法としては単語カードの利用とか一覧表の作成ということが思い浮かぶかと思うのですが、私は6年の夏まではテキストへの下線と!マーク記入をおすすめします。
☆ ページ全体と下線部分の相対的な量の比較が見えるので、なんか楽に思える。
☆ ページの中の位置やイラストを含めての情報の冗長化で、思い出しやすくなる。
☆ まわりの知識も目に飛び込んで来るのでプラス・アルファの知識が覚えられる。
四谷大塚の予習シリーズはこの方法で加工すれば、自分だけの受験データベースになります。 理科に関しては載っている情報の面で、小5からスタートした場合も小4の上下巻も購入することをおすすめします。 それらは下線引き加工まではできないと思いますが、一通り音読までしておいて勉強机の本立てに並べておくと必要になった時に確認に使えます。
小6夏の段階で、小4と小5の上下巻と小6の上巻の5冊から何かの記事のページをパラパラっと見つけられるようになっていたら、夏以降の理科の得点力の仕上げはとても順調に進められるはずです。