素因数分解を使った入試問題の例として 成城学園と立教新座の2016年入試から紹介します。 算数の単元としては<数の性質><素因数分解><平方数><立方数>です。
【問題】 成城学園の2016年第1回入試の大問2(8)
2016 × ● = ▲ × ▲ となる最も小さい整数●は□です。
ただし、●と▲は異なる整数で、▲ × ▲ は同じ整数どうしのかけ算です。
【解説】
何のヒントも無いと大人でもとまどう問題かも知れません。 でも中学受験の経験者に<素因数分解>を使う問題だよと言って解かせたら、かなりの割合でさらっと正解を出します。 出せるはず。 出せるかもしれない。
2016を素因数分解すると、こうなります。
2016 = 2 × 2 × 2 × 2 × 2 × 3 × 3 × 7
これに整数●をかけて平方数を作るということは、素因数分解したときに2も3も7も偶数個になれば良いのですから、2016では奇数個になっている2と7を追加すれば良いのです。
● = 2 × 7 = 14
授業で解説する場合は14をかければ平方数になるということを書いて納得させます。
2016 × ● = ( 2 × 2 × 2 × 2 × 2 × 3 × 3 × 7 ) × ( 2 × 7 )
= ( 2 × 2 × 2 × 3 × 7 ) × ( 2 × 2 × 2 × 3 × 7 )
= 168 × 168
大人の言うことを聞かない「やんちゃな」子だと問題文の2行目を読まずに、2016という誤答を書いてドヤ顔をしそうですね。
類題です。
【問題】 立教新座の2016年入試の大問1(2)
●、■には0を除く整数が入ります。 2016 × ● = ■ × ■ × ■ となるとき、●、■に入る数のうち、もっとも小さいものをそれぞれ求めなさい。 ただし、3個の■には同じ数が入るものとします。
【解説】
2016 × ● = ( 2 × 2 × 2 × 2 × 2 × 3 × 3 × 7 ) × ( 2 × 3 × 7 × 7 )
= ( 2 × 2 × 3 × 7 ) × ( 2 × 2 × 3 × 7 ) × ( 2 × 2 × 3 × 7 ) なので、
● = 2 × 3 × 7 × 7 = 294
■ = 2 × 2 × 3 × 7 = 84
成城学園はすなおな良問を出してくれるので好きです。 また立教新座は解法の丸覚えでなく理解の本質を尋ねてくるような良問を出してくれるので好きです。 その2校の「同じ年度」「同じ出題単元」「使っている記号まで同じ」という問題を見比べると、難易度と設問の位置(=問題番号)が両校の受験生に求める解答能力を示しているようで興味深いです。