駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

集中できるのは30分間

以前、某エンタテイメント系の企業に勤めていたときに社員研修としてシルクドソレイユのショーを見たことがあります。 まわりの観客の邪魔にならないよう視線を落とさずに小さなメモ帳に進行状況の時間経過を調べたのですが、そのときの話をハリウッド映画の起承転結や勉強に集中させるコツとからめて書きます。 

結論は表題に書いたように「何かにハマって夢中になっている人」は別として、ぼんやりと、あるいは他人から強制されて何かをするとき、人が集中できるのは30分までということです。

 

シルクドソレイユのショーでは、狂言回しに相当するキャラクター(道化師やその世界に入り込んだ異邦人など)が例外なく20分から25分くらいの一定の間隔で登場していました。 場面の切り替わりでチラっと腕時計の盤面に視線を走らせ、顔は正面に向けたまま他の観客の邪魔にならないよう視線を落とさずに小さなメモ帳に進行状況の時間経過を記録、後でメモの時刻を計算してみて一定間隔で切り替えが入っていたことを確認して、やっぱりねと思った記憶があります。 

 

ひと昔まえ、テレビの洋画劇場で家族そろって映画を見るのが普通だった頃、よく家族から「ネタばらしするな!」って叱られました。 ハリウッド映画はちょっとしたコツを知っていれば「真犯人」とか「本当の敵」とか「隠されていたテーマ」などが高い確率でわかってしまうのです。

コツは本当に簡単です。 ほとんどのハリウッド映画は30分かける4の起承転結システムを採用しているので、それを使うだけです。

起:観客はいきなり未知の世界に放り込まれ、最初の30分で登場人物と舞台設定に「気づく」

承:気づいたテーマを軸として脇役や関連した情報などを観客自らが「発見」して行く

転:ここまで構築して来た世界観を揺るがす材料が提供され観客は真のテーマに「気づく」

結:大団円に向かって大爆発、乱射、疾走、逆襲、覚醒など大騒ぎ!

もうわかりますね、4分割の「転」の部分、すなわちテレビの洋画劇場なら午後10時頃から急に登場頻度が多くなった人が「味方だと思っていた警察官が実は真犯人」だったり「単なる幼馴染だったはずが本当に好きな人」だったり「単純な偵察行動と言っていたのに実は捨て駒のおとり役を命じた将軍」だったりするわけです。 

この映画を起承転結の4コマで見るというのはガイナックスの元社長・岡田斗司夫さんの本で読んだのですが、その目で見るとサスペンスでも恋愛物でも戦争映画でも製作者がどのように物語を構成しようとしたのかが分かって面白いです。 もちろん全ての映画が4コマで構成されているわけではなく、それを外れた構成の映画もけっこう有ります。 宮崎駿監督の後期の作品にはこのシステムを採用していないのにリズム感が良いというものがいくつも有り、興味深いです。

 

中学受験のブログなので、その観点からまとめます。

・本人が夢中になっている場合は1時間以上続けて勉強させて問題無いですが、生徒本人がいまひとつ本気になっていない場合、30分を1コマとして区切りを設定することが有効です。 

・映画館でいきなり未知の世界に放り込まれる30分間、観客の注意力が続くのはスクリーン以外の情報を遮断されていることも大きいです。 勉強をさせる場所のまわりから気をそらせる物を無くしましょう。 

・たくさんの登場人物や複雑な舞台設定をわずか数十分で理解し覚えてしまえるのは、観客が自主的に気づいたり、自ら発見したりするからです。 勉強も・・・(以下略)

 

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