四谷大塚の5年生で次回の週テストは「場合の数(3)」です。 5年生から通塾を始めた人にとっては(3)って何?という話かも。 という訳で(1)と(2)で学んだこと、および場合の数を学ぶポイントの話です。 また、Sapixのカリキュラムについてもふれました。
場合の数(1) と(2)は小4の下巻の最後の方で学んでいます。
小4下巻の第14回 1.規則正しい数え方 2.樹形図の利用 3.図形のならべ方
小4下巻の第18回 1.選び方の樹形図 2.選び方の利用 3.選び方とならべ方
それを踏まえて5年生では今回の第12回と第13回で場合の数を仕上げてしまいます。 次にこの解法を学ぶのは小6上巻の第4回「条件整理・場合の数」 と小6下巻の第11回「数と規則(4)」で、この2回は総合回の中でまとめる形での復習になりますので、小5の2回でしっかり身に付けておきたい単元です。
小5上巻の第12回 1.和の法則 2.積の法則 3.ならべ方(順列)
小5上巻の第13回 1.組み合わせ 2.組み合わせの利用 3.試合の方法と試合数
小4下巻の授業内容をもうすこし詳しく見てみると、この2回の授業で<樹形図><ゼロを含むカードのならべ方><重複のあるカードのならべ方><倍数判定のあるカードのならべ方><図形の場合の数><えらび方><条件のあるえらび方><えらび方とならべ方の複合問題>を一気に取り扱っています。 この中で私が重視するのは<樹形図>です。
<場合の数>の単元で<樹形図>と<候補の書き上げ>を軽視すると、後になって思わぬ苦労をする危険性があります。 <場合の数>という単元は条件を複雑にして正答率を下げる工夫をやりやすく、また手間のかかる整理をさせることで受験生の緻密さや粘りも確かめられるので難関校においても頻出の単元です。 ところが上の方の学力クラスだと、<場合の数>の2回目以降の授業においては、<樹形図>(その書式違いの<候補の書き上げ>を含む)の書き方に関しては既に身についているものとして軽く振り返る程度で終えてしまい、すぐに計算を使った解き方の導入に入る場合があります。
<場合の数>の問題を入試の難易度別に語ると ≪難易度の低い学校≫では地味にコツコツ数え上げるだけで正解を得られてしまう問題がけっこう出題され、≪中堅校≫の出題だと数え上げるのはちょっと無理、つまり解法を使うのが必須となり、≪難関校≫になると解法で解けるだけだと満点が続出してしまうので本質の理解度を問うてくる、こんな感じだと思います。 つまりどのクラスであれ全員が<樹形図><候補の書き上げ>を身に付けることが必須、ただし乱暴に言えば中堅クラスの出題は解法の丸覚えで得点できるものがけっこう有ると感じます。
<樹形図>の書き方について予習シリーズの記述は小4下巻の第18回で<えらび方の樹形図>に関しての次の2行です。
・選び方の樹形図をかくときには、同じ選び方をかかないように気をつけます。
・選び方の樹形図をかくときには、すでに選んだ組み合わせをかかないようにするために、選ぶ順番を A→B→C→D のように決めて、BのあとにはAをかかない、CのあとにはAとBはかかない、DのあとにはAもBもCもかかないようにします。
簡単な規則ですね。 導入の授業で例を挙げながら説明すればわからないという生徒は少ないと思いますが、簡単であるがゆえにカリキュラムの関係で学ぶのが抜けたりしていると6年生の見直し回で抜けが見つかったりします。
私は<場合の数>の授業で<樹形図>を書く問題が出てくると生徒に書く目的を尋ねることが多いです。 目的というのは「漏れ無く 重複無く」数え上げることです。
この「漏れ無く 重複無く」数え上げるという考え方を学んでおくのは、おとなになっても役に立つ能力です。 たとえば人を説得する提案資料を作る場合や、ビジネスシステムの設計で業務データを分析する場合などで明確な視点から漏れや重複の無い分類学の考え方に基づいた分析がされていると高い信頼性が得られますので。
算数や数学を学ぶ目的のひとつとして論理的な思考法を身に付けるというものがありますが、この<場合の数>に登場する解法もその中のひとつです。 <樹形図>の書き方はルールとしては簡単ですが、生徒がルールの目的を含めてしっかり理解しているか、この機会に確かめておきたいポイントだと思います。
今回は四谷大塚系列のカリキュラムの話で始めたので、Sapixのカリキュラムで<場合の数>がどのように配置されているかも調べてみました。 登場するのは次の番号の回です。
(小4) : 41B-04、41B-19、N41-11、N41-14、F41-04
(小5) : N51-07、510-35
(小6):H61-06、61-13、N61-07、N61-17、61-30
小4でがっちり勉強し、小5では2回のみで記憶のリフレッシュ、小6でまたがっちりと仕上げるという割り振りですね。 もうひとつ気づくのは小4から小6の12回のうち過半数の7回が春夏冬の講習会に配置されているということ。 演習に手間を要する単元なので時間に余裕のある講習会期間を使うのは合理的だなと感じました。 注意することは授業の回数が四谷大塚のちょうど2倍であることから学ぶ範囲が小分けになり(各回の勉強はやりやすいが)単元全体の鳥瞰図は生徒自身(と保護者)が把握しなければいけないこと。 毎回の授業内容をしっかり消化し、かつ忘れないという人なら問題ないのですが、小6の後期になって「なにか抜けがあるらしい。」と気づいたときに単元全体の鳥瞰図が持てていると見直し作業が効率的にすすめられますので有利です。