2月後半は受験指導をした先生の太る季節です。 普段は食べられない高級なお菓子を食べるチャンスではありますが、受験終了までほったらかしだった自転車を整備して、基礎代謝を上げなければヤバイ・・・
という訳で、チョコレートに関連した入試問題です。 とり上げたのは渋谷教育学園渋谷の2012年の問題です。
渋谷教育学園渋谷中学校 2012年(平成24年)大問1から抜粋
【問題】
リカ子さんとお父さんの会話文形式の出題
バレンタインデーのチョコレートをリカ子さんが作ろうとしました。 きちんと湯せんで加熱し、型に入れて冷蔵庫で冷やしたのに、表面に白い粉のようなものができ、なんかザラザラしておいしくない・・・というシーンです。
お父さん「そうだろう。 これはファットブルームといって、よく起こる失敗なんだよ。 リカ子が作った方法では大事な作業が抜けていたんだ。 実はチョコレートには1型から6型までの6つの結晶の形があるんだ。 結晶の形によって舌ざわりや見た目がずいぶん変わってくる。 5型の結晶が一番おいしく、見た目もいいとされている。 だから、いかに結晶を5型にしてくかがおいしさのカギになるんだ。 そして、その5型をたくさん作る作業を『テンパリング』というんだ!」
こんな感じで会話が進みますが、以降は長くなるので要約して引用します。
それにしても妙にお菓子作りに詳しいお父さんですね。 その後の墨村良守君かな?
・成分が規則正しく並んだものを結晶という。
・チョコレートの結晶には種類がいくつかあって、温度により変わる。
《テンパリングの方法》
・50℃くらいでしっかりとかし、26℃くらいまで冷やす。
・この時にできるのは、不安定な3型や4型の結晶。
・もう一度湯せんして32℃まであたためる。
・3型や4型の結晶がとけ、同時に5型の小さな結晶ができる。
・この小さな5型の結晶を結晶核といい、成長のリーダーとなる。
・リカ子の失敗は5型の結晶核が少なくて、
安定で大きな6型の結晶ができてしまい、
白くてザラザラして舌ざわりの悪いものになったから。
《関連知識に関する会話が続く》
・とけてから固まりつつあるチョコレートはドロドロしているが、
そのドロドロの中では小さな結晶核がたくさんできている。
・チョコレートは 非ニュートン流体 だからしっかり混ぜるのも重要。
・非ニュートン流体とは、このチョコレートのように混ぜようとすれば
するほど“粘り気”がより強くなるものなどを言う。
・しっかり混ぜたあとは型に入れて冷やせば、安定な5型になって固まる。
・安定な5型は普通の室温くらいではとけないから、白くはならない。
【設問】
問1 テンパリングを行ったチョコレートとテンパリングを行わなかったチョコレートをくらべると、テンパリングを行ったチョコレートの方が、より固まりやすくなります。 その理由を次の ア~エ から1つ選び、記号で答えなさい。
ア 3型や4型が5型の結晶にすみやかに変化するから
イ 結晶核がたくさんできるので、色々なところで結晶化が進むから
ウ 26℃以下にならないと固まらないから
エ 安定な5型の結晶ができるから
問2 テンパリングは温度を上げたり下げたりと複雑ですが、チョコレートを50℃くらいにしてとかし、冷やす時にきざんだ市販のチョコレートを入れると、テンパリングを行う必要はありません。 この時の市販のチョコレートのはたらきを答えなさい。
問3 下線部の「非ニュートン流体」について述べた次の文章の[ ]にあてはまる文を下の ア~オ から1つ選び、記号で答えなさい。
水や空気のように、加えた力に比例して“粘り気”を感じるニュートン流体に対して、非ニュートン流体には生クリームやチョコレートのように、力を加えれば加えるほど“粘り気”がより強くなるものや、逆に力を加えれば加えるほど"粘り気"が弱くなるものがあります。 例えば、ボールペンはペン先に小さなボールがついていて、ボールが回転すると[ ]ため、インクが出てきて字が書けます。
ア 遠心力によって、ふり落される
イ インクが温められる
ウ インクに空気がまざる
エ インクに力が加わり、“粘り気”が弱くなる
オ インクに力が加わり、“粘り気”が強くなる
問4 テンパリングを行ったチョコレートでも長期間保存すると、表面が白くなることがあります。 この現象が起こる原因となる季節を春・夏・秋・冬の中から1つ選び、答えなさい。 また、そのように判断した理由を答えなさい。
問題は以上です。
解説は次の投稿で。