駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

立方体の切断:基本設計

立方体の切断を体験の中から学ぶための紙製の模型6種類について、考え方などのポイントを最初に書きます。 基本としたのは「自分の手で組み立てる」「へぇっていう驚きを与える」「無駄な時間を使わせない」という3点です。

 

自分の手で組み立てる

 4月25日の記事では次のようなことを書きました。

ある女子生徒が立体図形の展開図がらみの問題を苦にしていないので理由を尋ねたら「弟の買った雑誌のボール紙の組み立て付録を取り上げて作っていたから」と答えたことがありました。 さもありならん。

  立体図形:ここまでのまとめ - 駒澤塾:中学受験の算数・理科 から引用

 

昨日の記事でご紹介した市販の切断教材を見て感じたのは、どれも「見るだけ」だということでした。 硬質ゴム製の立方体が切ってあったり、透明な立方体の中に切断面の形をした板をはめこんだりして、それを「見るだけ」。 

切断面の形を見るだけなら100均ショップの立方体形の透明ケースに量を調整した水を入れるだけで出来るのでは?と書いたのが4月27日の記事。 

  立方体の切断と傾けた水槽 - 駒澤塾:中学受験の算数・理科

 

『立方体とその切断面の空間的な位置関係を立体模型で見るだけ』という教材でも購入者のコメントを見ると「効果があった!」「苦手意識が消えた!」「解けるようになった!」という声が圧倒的で、ネガティブな意見は「値段のわりに安っぽい」というものくらい。

上に書いた体験で、展開図から立体を自分の手で組み立ててみることの効果は判っていましたから、私が今回提供するのは、自分の手で組み立てることを基本に考えて『色紙に展開図を印刷したもの』です。 

ただし、単純に手を動かすだけではなく、ていねいに作れば講師が教材として使えるし、逆に生徒が手を動かして自分で作る場合には時間を無駄に費やさせないための工夫も織り込んでいます。

 

 

へぇっていう驚きを与える

市販の切断教材を見てあららと思ったのが、どれも「一回だけ切断した断面の形」を見せているだけということ。 もちろん一回切った切断面の形そのものが初めて学ぶ生徒にとっては難しいものですが、「数千円とってそれだけ?」というのも正直な感想でした。

  市販教材をまとめた昨日(5月18日)の記事

  立方体の切断:市販の教材 - 駒澤塾:中学受験の算数・理科

 

今回私が整備したのは組み立てると6種類の立方体になる模型ですが、それらのうち4種類は『複数回の切断でできる立体』を学ぶ教材です。

残りの2種類は一回切った断面の形を確認するための物ですが、複数の切断面をひとつの立方体に織り込むことで5種類の断面を観察できるように工夫して有ります。

 正三角形(小)、正三角形(大)、正六角形、等脚台形、五角形

その他の切断面(正方形、長方形、菱形、平行四辺形など)は省略しました。 それらの切り方は簡単ですから。 

複数回の切断でどんな形が作れるかは明日以降の記事をお楽しみに。

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無駄な時間を使わせない

実は今回の整備作業で最も配慮したのが、このポイントでした。

もともと切断模型は自分自身が指導の際に生徒に見せるために作った物でした。 自分で使う物ですから多少の寸法の狂いは微調整できますし、「のりしろ」などもアドリブで切り残していましたが、今回は初めての人でも作れるようにデザイン変更と試作を繰り返しました。 

 

寸法としては、100均ショップで売っているこの透明容器にすとんと入るようにしました。

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きちんと接着して作れば、それなりの強度を持った模型になりますので、この容器に入れておけば保管には困りません。

 

しかし、しっかり作ろうとすると相当な時間が掛かってしまいますので、それへの対策も考えました。 私としては展開図から立体へ「自分の手で」組み立てる作業そのものが、感覚を身に付けるための学びになると考えますので、ぜひ生徒本人に組み立てをやって欲しいのですが、受験学年の小6にやらせたいとは思いません。

のりづけで綺麗に作ろうとすると六種類を作るのに一日では終わりません。 受験生にそんな時間は使わせられないです。 

 

解決策は単純です。

六種類の展開図を、それぞれ2枚ずつ提供します。 

1枚は保管用です。 

もう1枚は保護者が切り抜いてから生徒に渡してください。

その時には、こう指示をして欲しいです。

「同じものが二枚ある。

 一枚は取っておくので来年2月の受験が終わったら使いなさい。

 その時は接着剤を使って時間を掛けて綺麗に作っても良いけれど、

 今回はセロテープで時間を掛けずに手早く作ってしまいなさい。」

 

セロテープを使えば、六種類全部を作っても小一時間で終わります。

繰り返しになりますが、展開図から立体への組立作業はぜひ本人にやらせて下さい。

けっこう複雑な形なのでパズルみたいに工夫が必要ですし、展開図という平面の世界から立体に変わる組み立てを体験することで、必ず何か残るものがあるはずです。

 

セロテープでとめる というイメージ

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コピー用紙で試作した時の様子です。

展開図を構成する面の配置、組み立てやすい順番、接着しやすいのりしろなどを工夫するために、何度も試作を繰り繰り返しました。 

 

 

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