駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

数の学習:中学受験後に学ぶもの

『数の学習:具象から抽象へ』の続きとして、中学への入学後に数学で勉強する事柄や、そこから派生して中学受験で方程式による解法を使うことについての意見を書きます。 

 

中学に入ると、数学で「負の数」を学びます。

負の数そのものは「氷点下7度」などの形で見たことが有るにせよ、意味やそれを使った計算方法などを初めて学ぶわけです。 

 

【数字の書き方】 負の数は数字の前に「-」の符号を付ける。 すごく簡単なことに見えますが、生徒たちにとっては初めて学ぶ知識がけっこう有ります。

初めて①:これまで計算の方法を現していた「+」や「-」という記号には、数の正負を表すという別の役割があるということ。 

初めて②:これまで無意識に書いていた数字には、実は「+」という記号が省略されていたということ。 

初めて③:正の数と負の数は裏表の関係にあること。 「標高がマイナス410メートル」とは「海面下(プラス)410メートル」と同じである。など。

 

【数直線】 中学受験の勉強をした生徒には「線分図」がゼロをまたいで負の方向に延長されたものとして受け入れられ易い図で、数の大小と絶対値という概念をセットにして学びます。 

その際に数の大小の表し方( 「マイナス7はプラス1よりも小さい」 など)は、絶対値とセットで学ぶべきです。 なぜなら、セットで学ぶことで比較ができるので絶対値とは何かという感覚が身に付くからです。 そして絶対値の感覚が身に付いていないと、続く「正負の数の加法・減法」で苦戦します。

 

どうでしょう、正負の数とは何かを学ぶ時の「初めて触れる知識」を認識されておられましたか? 教える側が簡単だと思ってこの段階の説明や演習を簡単に済ませると、その後の習得に大きな弊害が出てしまうことを私は体験して来ました。

中学校では正負の数に続いて、正負混合の加減・正負混合の乗除・項・係数・除算と分数の関係・文字式・分配法則と結合法則・移項・一次方程式の学習をします。 ここまで学ぶのに公立の中学校では一学期をまるまる使うのです。 

更にそれで終わりではなく、方程式を使って問題を解くためには問題文から最初の式を立てるという手順の訓練を何パターンも終わらせなければ、解法の最初の一歩すら踏み出せません。

 

そういった基礎の訓練を軽視して方程式を教えることの問題を以前書きました。

komazawajuku.hatenablog.com

 

もちろん、こういう説明をとばしても移項や式の変形をさらっと覚えてしまう子も居ます。 

そういう子が方程式を使うことにはむしろ賛成です。 しかし指導する側(保護者や塾の先生など)が「簡単に思えるから」という理由で方程式を使わせるのは大反対です。 「マルイチ算は魔法のツール。式さえ立てられれば正解を得ることができる。」と言い切る先生は不勉強だと思います。

 

 

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