駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

流体の抵抗に関する問題 考えるカラス

自転車で走るとき、時速20キロを超えると空気の抵抗を強く感じます。 自転車のフレームも断面が流線型をしているものも多いのですが、なんで流線型というのは「後ろ」がシュっとしているのでしょう? なんで前側が尖っていないのでしょう? Eテレの考えるカラスに登場した問題を使って解説します。

 

www.nhk.or.jp

【問題】

今日は、お盆(ぼん)と風船を使った問題です。台の上に立って、お盆と風船から同時に手をはなします。お盆が先に落ちて、風船はあとからゆっくり落ちました。ここからが問題です。今度は、お盆の上に風船をのせます。そして手をはなすと、このお盆と風船はどうなるのでしょうか。

1.お盆が先に落ち、風船はゆっくり落ちる。

2.いっしょに落ちる。

3.お盆は落ちるが、風船は上がる。

 

【番組内の解説】

考える練習「お盆(ぼん)と風船」の答えです。手をはなすとどうなるかという問題。1.お盆が先に落ちる。2.いっしょに落ちる。3.お盆は落ち、風船は上がる。やってみると…、いっしょに落ちました。なぜでしょうか。お盆にのせずに風船をそのまま落とすと、ゆっくり落ちます。それは、空気の抵抗(ていこう)があるからです。お盆は、風船よりも…。ここから先は、自分で考えよう。これからはみんなが、考えるカラス

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【本ブログの解説】

解説を「しない」番組の解説を書くってのもヤボなのですけれど、都立一貫校の桜修館の入試問題・・・じゃなくて適性検査で出された問題につながる話なので書きます。

そもそも、流体による抵抗って何なのでしょうか?

液体の粘度と速度によって挙動が大きく変わるのですが、とりあえず「粘度は高め」「速度は速め」の場合に絞って書きます。

 

ダブついたウィンドブレーカーを着た人がオートバイで走っているところを見ると、背中の部分がブワっと膨らんでいます。 なぜ?

生徒にこの質問をすると「すきまから入った空気が膨らませる」って答えます。

でも前のチャックや袖口をガムテープなどでぴたっとしめつけて、風がいっさい吹き込まないようにしてもウィンドブレーカーの背中は膨らむのです。 なぜ?

答えは、その人の背中の後ろの気圧が低くなって、それが背中をひっぱっているから、です。

 

 考えるカラスの問題で、風船がお盆に吸い寄せられて、それにより一緒に落ちていくのも同じ理由です。 お盆の上側に気圧の低い場所ができて、それが風船を吸い寄せているわけです。

流体の抵抗というのは、物体の前面に立ちはだかる流体から押される力ではなく、物体の後ろ側から「後ろ髪を引く」力なのです。

 

流体による抵抗を小さくしたい場合、物体の後ろ側に圧力の低い場所を作らないことが重要になります。 だから流線型は後ろがシュってしているわけです。

 

なんとなく前が尖っている方が抵抗が小さくなるような気がしますね。 実験のレポートを読ませて、そこから「後ろシュッ」に気付かせる問題が桜修館で出たことがあります。 その紹介は稿を改めて書きます。

 

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