駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

ホットケーキに関する問題

2月14日はバレンタインデーということで、去年は渋渋の問題を紹介しました。 

チョコレートを含めて何かお菓子に関する問題が無いかなと探していたら、ホットケーキに関する出題が有りました。 

とりあげる例題は都市大等々力2017年(平成29年)S特選の大問2です。 

 

昨年書いたチョコレートの話は、これです。 

テンパリングに関する説明を読んで考えさせるという出題でした。 

情報量が多かったので解説編は原稿を分けました。 

komazawajuku.hatenablog.com

解説編です。 

私の出した解答は四谷大塚の過去問データベースに掲載されていた解答例とだいぶ食い違っていました。 

あれから1年たちましたが、四谷大塚の解答例は改訂されていません。 

解答に差ができた原因のひとつは、問題文の指示を見落とし無く読み取っているか、というポイントで、それを下の記事では解説しています。 

加えて、私自身が受験指導の世界に入る前にしていた仕事、シリコンインゴットの製造管理や、アルミナセラミック製造工程でのスラリーの取り扱い等で体験した知識も織り込んで判断していますので、私は自分の解答に自信をもっています。 

komazawajuku.hatenablog.com

 

さて、今回はホットケーキに関する入試問題です。 

都市大等々力 2017年(平成29年)S特選コース第1回から大問の2です。 

 

【問題】

次の文章を読み、あとの問いに答えなさい。

ふっくらしたホットケーキを作るために、スーパーマーケットでホットケーキミックスを買ってきました。

ボウルに牛乳とたまごを入れてかき混ぜ、そこにホットケーキミックスを入れ、すばやく20回ほどかき混ぜました。

そして、それをホットプレートで焼きました。

ふっくら焼きあがったホットケーキを切って断面を見ると【図1】のようにすき間がたくさんありました。

【図1】

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さらに、ホットケーキミックスについて調べたところ、以下の①~③のことが分かりました。

ホットケーキミックスに入っているベーキングパウダーの主成分は「炭酸水素ナトリウム」という物質であり、熱すると炭酸ナトリウムと水と気体Aに分解する。

  炭酸水素ナトリウム ー加熱→  炭酸ナトリウム+ 水+ 気体A

② 炭酸ナトリウムはアルカリ性の物質で、苦みの成分である。 炭酸ナトリウム以外にも苦味のもととなる成分がいくつかある。
③ ベーキングパウダーには、炭酸水素ナトリウムのほかにもホットケーキをよりおいしく、ふっくらさせる物質がたくさん含まれている。

≪例≫
水分と反応して気体Aを発生する物質
水分と反応して苦味成分となる物質
水分と反応してできた苦みを消す物質

 

次に、気体Aを調べるためにホットケーキミックスを【図2】のように試験管に入れ、ガスバーナーで加熱しました。

このとき発生した気体Aを石灰水に通したところ、白くにごりました。

【図2】

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問1  発生した気体Aは何ですか。漢字で答えなさい。

問2 『ホットケーキミックスを入れてから焼くまでを、すばやく行うとふっくら焼きあがる』とホットケーキミックスの袋に書いてありました。その理由を答えなさい。

問3 『ホットケーキの片面を弱火で3分ほど焼き、表面にぷつぷつしたあわが出てきたら、すぐにひっくり返すほうがたくさんふくらむ』とホットケーキミックスの袋に書いてありました。その理由を答えなさい。ただし「発生した~」に続く形で答えること。

問4 『ホットケーキミックスでドーナツも作ることができる』とホットケーキミックスの袋に書いてありました。しかし、以下の《表》のよぅに2点ほどホツトケーキの作り方とちがう点がありました。
ドーナツを30分ほどねかせる理由を解答らんに合うように答えなさい。

《 表 》

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【解説】

問1 気体Aの名称

これは基本的な設問です。

石灰水を白くにごらせる気体ですから   二酸化炭素  

 

問2 すばやく焼く理由

《例》の1行目に書かれている「水分と反応して気体Aを発生する物質」の存在を読み取れたかを問う設問ですね。 

  牛乳や卵の水分との反応で発生する二酸化炭素が生地から出て行く前に焼くため。  

 

問3 あわが出たらひっくり返す理由

こちらは「表面にぷつぷつしたあわが出てきたら」ひっくり返した時に、何が起きるかを考える設問です。 

(発生した)二酸化炭素を、表面を焼きかためることでとじこめるため  

 

問4 ドーナツの場合に30分ほどねかせる理由

《例》の記述と《 表 》のデータを比較して考察する設問です。 

   水分  (が少ないので)  苦味  (を消すのに時間がかかるから。) 

 

今回のような初めての知識に関する入試で得点するためのテクニックです。 

テクニック1:説明文に続けて設問も最後まで目を通してから解答を書く。 

この理由はチョコレートのテンパリングの問題で解説編に書きました。 

テクニック2:説明文の知識を漏れなく使うか、選択して使うかに気を配る。

今日の例題のように説明の文章を読んで答える問題では、書かれている事を漏れなく使うことを求める場合と、一部分の記述だけを選ばせて答えさせる場合の両方があります。 

「一部分の記述だけを選ばせて答えさせる」というのは、膨大な情報の中から必要な部分だけを選択する力を試そうとする意図ですね。 

私は「漏れなく使わせる」問題の方が好きです。 

その理由については改めて「親の意見と茄子の花、千に一つの無駄も無し」というキーワードで書く予定です。 

 

今朝(2022-02-15)のNHK総合7:45頃からの「まちかど情報室」が偶然にもホットケーキを上手に焼く話題でした。

1)かき混ぜすぎず、ダマが残るくらいで焼く。

2)フライパンに入れてから広げない、高い所から落とすように入れる。 

3)ひっくり返す前に端をめくって見ない。中央部に気泡が現れたら返す。

4)ミックス粉には様々な種類が有るので試してみるのをお勧め。

5)ちょい足し、絹ごし豆腐やヨーグルト。例えば豆腐150gなら牛乳は70mL。

 

どれもやって来たことばかりで私には目新しい情報は有りませんでした。 

ちなみに、私は市販のホットケーキミックスを使う時、別に買っておいたベーキングパウダーをちょい足ししています。 

 

ちょい足しホットケーキに関する出題は、2015年の立教新座にも有りました。 

ブルーベリージャムを混ぜた生地で焼いたホットケーキの色に関する問題で、とても面白い着眼点からの設問でした。 

 ブルーベリージャムにホットケーキミックスを入れると紫色が青色になり、

 それをフライパンで焼くと断面が緑色になり、

 断面にお酢をたらすと赤色に変化する。 

このような現象に対して、理科の知識に関連する質問をしています。 

こちらも、いずれ紹介したいです。 

 

 

 

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