広尾学園の妙に簡単な出題の例をもうひとつ紹介します。 <大きな数の積を面積図を使って考える>計算問題で、<ユークリッドの互助法>につながる解法です。 広尾学園の2014年(平成26年)第3回試験の大問1番(4)です。
【問題】次の計算をしなさい。
( 31 × 35 + 2 × 2 ) ÷ ( 29 × 37 + 4 × 4 )
【解説】
普通に計算しても手間はかからない計算問題です。 筆算をしても答えを出すのに1分もかからないのではないかな。
( 1085 + 4 ) ÷ ( 1073 + 16 ) = 1089 ÷ 1089 = 1
でも式を見て、近い数字の積が2組あり、その一組の数字の差はすぐ後に足される平方数と関連が有りそう・・・と気付ける生徒はかなりのレベルまで算数の学習が進んだ人です。
31、35、29、37 という数字と、2 と 4 から次の式が思いつくと面積図につながります。
31 + 2 = 33
35 - 2 = 33
29 + 4 = 33
37 - 4 = 33
一辺 33 の正方形を書いて2つのかっこ内の値を長方形の面積で示すと、こうなる訳です。
ひとつめの ( 31 × 35 + 2 × 2 ) で 33 × 33 の正方形から右にはみ出すのは、2 × 31 の細長い長方形と 2 × 2 の正方形です。 この2つの面積を足したものは 2 × 33 ですから、かっこ内の値は 33 × 33 になります。
ふたつめの ( 1073 + 16 ) も同様に 33 × 33 になりますので、割り算の答えは 1 になります。
この計算問題、使い方がもったいないなぁと感じるのは私だけじゃないと思います。
・ 地味にコツコツ筆算をしても、あまり所要時間が変わらない。
・ そもそも広尾学園の解答用紙は途中式や考え方を書く欄が無い。
積を作る数字を2桁でなく4桁くらいの数字の組にしたら、雙葉で出題されるような計算問題に化けますね。 たとえば、こんな感じで。
( 1022 × 1026 + 2 × 2 ) ÷ ( 1020 × 1028 + 4 × 4 ) = □
2020/01/25 追記
一段階難しくした問題を作りました。