勉強を進めて行くなかで「あっ、これとこれは似ている!」という発見が出るようになると、新しい知識がすっと覚えられるようになります。 知識のネット化について算数で面白い例を見つけたので紹介します。
例題は広尾学園の2012年(平成24年)第1回入試の大問2の(2)です。
知識のネット化を利用した例は、理科で<地学・気象>と<化学・水の三態>を「おいしい野菜炒めの作り方」で関連付けて説明したことがあります。
算数の単元は「○○算」と名前のついたものだけで数十以上あり、受験生はこれらを何年もかけて覚えて行くわけです。 勉強が進んで行く中で「あっ、これとこれは似ている!」という発見があると、新しい知識がすっと覚えられるようになります。
硬貨を使って金額を作る<場合の数>に関する問題と、約数の個数を求めるという<数の性質>の問題の解き方に共通点がありましたので、広尾学園の入試問題を例にして解説します。
(例題がやさし過ぎたので、入試問題の一部の数字を変えました。)
【問題】
500円硬貨2枚と100円硬貨3枚でおつりなく買える金額は全部で何通りありますか。
【解き方】
この手の問題の一般的な解き方は「地味にコツコツ」と書き出して行く方法ですね。 今回の例題では不要ですが、もし100円硬貨が5枚以上あったら金額の重複が出ますから、コツコツと書き出してしっかり確認するのがミスによる失点を防ぐ王道だと思います。
<別解>
こちらは<場合の数>で<積の法則>を使う方法ですが、要注意です。 こちらは、頭の中だけで「金額の重複を整理できる」という事と「100円硬貨も500円硬貨もゼロ枚である1通りを引き算できる」という事を確実にできないと、出題によってはミスをして失点してしまいます。
この<別解>と似た解法が<約数の個数を求める式>です。 問題を使って説明します。
【問題】
1125の約数の個数は何個ですか。
【解き方】
受験算数では<素因数分解>の素数ごとの個数を使って計算する式を習います。 この式でやっている事が今回の「硬貨で作れる金額」の問題と同じだと気付けると、無理に暗記をしなくても自然に覚えられます。
硬貨の問題よりも「重複を考えなくて良い」、「全部がゼロの1通りを引き算しなくて良い」のでむしろ単純です。
と、ここまで書いておいて何なのですが、この<約数の個数を求める式>は難関校の志望者以外は無理に覚えなくても良いです。 計算式を半端に使って失点するよりも、コツコツ書き出して着実に得点した方が有利な場合が多いですから。
以前、年号をネタにした話で書いた「2016」という整数でも約数の個数は36個ですから、その程度ならコツコツ書き出しても1分強で答えを得られると思います。
ところで、
広尾学園の算数には、たまに驚くほど簡単な問題があります。 今回の例題も元は「500円硬貨2枚と100円硬貨2枚」という設定でした。 1分もあれば全部書き出して答えを出せてしまいます。 それらの簡単すぎるように見える出題は、何を目的にしているのかわかりません。 謎だ。