駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

学習塾でのドクターショッピング

 ドクターショッピング (英語: Doctor shopping) とは、精神的・身体的な問題に対して、医療機関を次々と、あるいは同時に受診すること。別名「青い鳥症候群」とも。

 出典: ドクターショッピング - Wikipedia

2月からゴールデンウィーク明けには、通う塾を変更するご家庭の多い月です。 春期講習や小学校の新学年といった区切りに加えて「4月の模試」の結果を見て、というきっかけが有りますので。

 

学年の切り替わりで塾を変える、あるいは「二月の勝者」にもあったように短期間だけ他の塾を試して戻って来る、そういう転塾ならまだ良いのですが、数ヶ月ごとに次から次へと塾を変える、いわば『中学受験でのドクターショッピング』をされる方が居ます。 それは非常に危険な戦略ですので今日はその理由を書きます。

 

中学受験のことになると実態が見えなくなってしまいがちですので、Wikipediaの『ドクターショッピング』の記述を基に受験の話に登場する用語だけを置き換えてみました(一部の項目には《補足》を書き加えてあります)。 医療の話だと「何がまずいのか」理解しやすいです。 理解しやすいって言うか、思った以上に生々しくなってしまったきらいがありますが・・・

 

【中学受験でのドクターショッピング現象の発生原因】

1. 生徒が十分な教育を受け、最良の成果を得たにもかかわらず、より良い成果を求め、次々と学習塾を変える。

 

2. 生徒や保護者に成績不振の性質を理解する能力がなく、講師との面談や原因調査・対策が十分に行われないまま、学習塾を変える。

 

3. 生徒や保護者が教材依存状態にあり、オプションを含め全部の教材を入手すると、違う学習塾に入塾する。

《補足》

学習塾のオプション教材だけでなく市販の問題集も買い集め、それらを全部やらせようとするご家庭もあります。 そんな状況で子どもは何をするか・・・ 『途中式も書きこみも無し、答えのみが書いてあって全問正解の赤丸が付いているだけ』という問題集を過去には見て来ました。

 

4. 面談・ペーパーテストでは診断を下すことが難しい成績不振のため、さまざまな講師にバラバラに相談する。

《補足》

文章読解力は高いけど図が書けない、逆に図形認識は凄いけど文章読解が駄目といった偏りで得点力が低い場合、ペーパーテストの分析だけでは原因を究明できません。 私が対面授業を重視する理由のひとつです。 問題を解いている生徒の鉛筆の動きはとても大きな情報源です。

《補足:2》

講師は相談を受ければ何らかの「対応策」を返答します。 部分的な情報だけで何人もの講師にバラバラに相談し、それぞれの対応策(追加の問題演習など)を同時並行に生徒にやらせたりしたら・・・確実にオーバードーズです。

 

5. 成績向上策が芳しくなく(思え)、生徒や保護者自身にとって都合の良い約束を提示する講師が現れるまで転塾を繰り返し、家庭教師を変える。

《補足》

「おまかせくださいっ! かならず◇◇中学に合格させますっ!」 

 

以上、医療のドクターショッピングの説明から中学受験でどのような危険性があるかを類推するために登場する単語を置き換えてみました。 

生々しい話でごめんなさい。 

でも最良の受験をさせてあげるために、一度考えてみてください。

 

 

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出典:小野繁 『ドクター・ショッピング―なぜ次々と医者を変えるのか―』 | 新潮社

 

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