いもづる算(不定方程式)の解説で、前から不満に感じていたことがあります。
それは最初の芋の具体的な見つけ方が書いてない場合の多いこと。
東京農大第一中学の2020年(令和2年)の大問1を例題にして解説します。
いもづる算(不定方程式)の解法は、このような手順です。
手順1:問題文から式を作る。(立式)
手順2:なるべく簡単な数にする。(係数と定数項の整理)
手順3:式が成り立つ最初の組を見つける。
手順4:芋のつるを引っぱるように、答えを見つけて行く。
手順1と手順2の式を作る作業は、ほとんどの生徒がすぐに出来る様になります。
また、手順4の係数を逆に使って答えを見つけて行く作業も、すぐに覚えてくれます。
しかし見ていると、手順3の最初の組を見つける作業で(最終的に正解は得られていても)、無駄な時間を使ってしまっている生徒が多いです。
この手順をスムーズにやらせるために、今日の記事を書きました。
例題は東京農大第一中学の2020年(令和2年)の大問1の(3)です。
【問題】
ラグビーの試合では、トライを1回決めると5点入ります。
トライを決めるとゴールを1回狙うことができ、ゴールを決めるとさらに2点入ります。
Nチームは、1試合で123点入りました。
Nチームのこの試合でのトライを決めた回数とゴールを決めた回数の組み合わせは、全部で何通りですか。
【解説】
作業そのものは、とても単純です。
手順3a;総和(作りたい数字)を片方の係数aで割ってみて余りを出す。
手順3b;割り算の商を一つ減らして、その分、余りを増やす。
手順3c:余りがもう片方の係数bの倍数になれば、それが最初の組です。
この簡単な作業を覚えることで、手早く正解を出せるようになります。
できれば算数が得意な生徒にも、この機会を使って「割り算とは何か?」を、さっと再確認させておきたいです。
「割り算(除算)」とは、
「割られる数」から「割る数」を最大で何個、取り「除」けるかという計算です。
アラビア数字を使った筆算でも、そろばんでも、タイガー計算機でも、割り算をする仕組みは全てこれを利用しています。
中学受験の算数でも難関校の出題になると、一流の数学の先生が数や演算の本質を問うような問題を出してくれます。
目の前の問題に対して正解を出したことに満足してしまうのではなく、機会があるごとに理解を再確認しておくと、役に立つ時が来ます。
今回の例題で除算の商を一つずつ減らして、その時の余りを考えるという操作は、通常の割り算を逆向きに(取り除く個数を減らして行く)処理をしている訳です。
割り算に関連して詳しく知りたい方は、この記事をお読みください。
2019-02-15:数の学習:つまずくポイントと対策①