図形の規則性に関する解説の3本目です。 タイルの枚数の差が1009枚になるのは何番目の図形か、という問題はちょっと難しいですが、中学受験の解き方で頑張れば、正解を出せます。
今回解法を書く問題は、このような物です。
(3) タイルAがタイルBより1009枚少なくなるのは何番目の図形か。
前回の『図形の規則性:その2』で乗せた整理表を再掲載します。
タイルA、タイルB、それらの和の枚数については三角数を使ったシンプルな計算式で表すことが出来ました。
今回の(3)はタイルAとタイルBの枚数の差が1009という大きな数値です。
これを地味コツで計算を繰り返して解くのは、ちょっと、しんどい。
計算できるルールを見つけなければいけません。
tea breakさんは平方数を使った美しい式を作り上げていました。
市松模様にするという発想が中学受験の解法テクニックとして汎用化できるなら、そのまま生徒への指導に採用するのですが、この発想が試験時間中にするっと出て来る小学生って、トップ中のトップというイメージです。
逆に言えば、そういう子もトップクラスには必ず居ます。
さて、それではここまで作って来た整理表をベースにして「枚数の差」に対するルールを探してみましょう。
整理表を見ながら、中学受験のテクニックが何か使えないかという視点から、
タイルの並び方が<方陣算>っぽい、これが使えないかなと考えてみました。
<方陣算>を解くポイントは、次の3点です。
ポイント1:模式図で考える
ポイント2:4で割る、4を掛ける
ポイント3:角(かど)の一個に注意
そこで試しに、タイルの図に<方陣算>の模式図のような枠を書き込んでみました。
するとルールが見つかりました。
整理表に青い字で考え方を書き足しました。
たとえば、3番目の図形では、
赤色で囲った黒いタイルAは 3 × 4 = 12個 あり、
青色で囲った白いタイルBの一番外側の一列は 2 × 4 = 8個 あります。
つまり、タイルBの枚数からタイルAの枚数を引くということは、
タイルBの一番外側の一列を削除して、更に4枚減らすのと同じことです。
前の整理表ではタイルBの枚数を「nの三角数の4倍 + 1」という式で書いていました。
今回は、それをバラバラの足し算の式に分解しています。
3番目の図の例で言えば、前の図では「2の三角数 × 4 + 1」だったのを「2 × 4 + 1 × 4 + 1」としています。
次にこの式を使って「差」の枠にタイルAの枚数を引き算する式を作っています。
2 × 4 + 1 × 4 + 1 - 3 × 4
そこに「タイルBの一番外側の一列を削除して、更に4枚減らす」を適用すると。
1 × 4 + 1 - 4
となり、つまりこれは 「1の三角数 × 4 - 3」 です。
この式が成り立っていることを示すために、次の5番目の図形を追加しました。
(5番目の図形は、前回書いたように略した書き方をしています。)
5番目の図形でタイルAとタイルBの枚数の差は
「3の三角数 × 4 - 3」 となり、n番目の図形に対する式は、
「(nー2)の三角数 × 4 - 3」 となります。
それでは問題で指示された1009から逆算してみましょう。
1009 + 3 = 1012
1012 ÷ 4 = 253
求めた「253」という数字が何の三角数であるか調べます。
このレベルの問題を解く生徒は、三角数の値を10、15、20あたりまでなら暗記しているはずです。
10の三角数= 55
15の三角数= 105
20の三角数= 210 ・・・ここからは、253になるまで足し算をして
21の三角数= 231
22の三角数= 253
よって 22 + 2 = 24 から 24番目の図形
今回の例題では<方陣算>の解き方を適用して正解を得た訳ですが、
ブログ記事の解説用に5番目の図形を書き足していたら、その作業中に「あらら」と口にしてしまいました。
この(3)って、
手順4:並んでいる数字同士の差を書くなどしてルールを探す
をやっても解けますね。
文字数が多くなって来たので、
手順X:ルールが見つからなかったら、図形を追加してみる
に関する話も含めて、もう一つだけ記事を載せます。