図形の規則性に関する解き方の、その2です。 その1は表に数字を書いた瞬間に正解が得られる簡単な設問でした。 今回は目標とする志望校の難易度レベルで分けて、二種類の解き方を解説します。
前回の(1)では、黒色のタイルAがn番目のnという数字の4倍になっているというルールを見つけ、5番目の図形のタイルAは20であると瞬時に分かりました。
設問(2)は、9番目の図形での枚数を尋ねられています。
(2) 9番目の図形のタイルBの枚数
タイルBの枚数を順に見て行くと 1,5,13,25,・・・
さて、この数字の並びのルールは何でしょう?
とりあえず手順4「並んでいる数字の差を書き込んでみる」をしてみましょう。
差を書き込もうと暗算をする途中で、ルールはすぐに見つかりますね。
前の数字との差は、4,8,12,・・・ タイルAと同じ枚数です。
つまりタイルBの枚数は、一つ前の図形でのタイルAとタイルBの合計です。
ここから先、(2)の解答を得る方法は受験生がどのレベルまで到達したいかにより二つに分かれます。
この時点で1分ほどパパッと足し算をすれば9番目のタイルBの倍数が 145枚 である事はすぐに得られます。
具体的には、
9番目までタイルAの枚数を順番に n×4 で計算する。
タイルAとタイルBの枚数を足し算する。
それを次の図形のタイルBの枚数に書き写して行くという単純作業です。
到達目標が中堅校までで良いならば、この解き方で良いです。
注意が必要なのは、問題集の解説には力技(ちからわざ)で地味にコツコツ計算していく方法が書いていないことです。
地味にコツコツ(地味コツ)で計算しても1分ほどで正解が得られる問題なのに、なんだか難しい計算式で解説しています。
それは、なぜでしょう?
これは、(3)を解説するために、(2)で難しい計算をさせているのです。
という訳で、今度は計算でタイルBの枚数を求めるためにルールを探してみましょう。
手順5です。 表の数字を式の形で書いてみます。
はい、ルールが見つかりました。
和の数字は、n番目のnの三角数を4倍して、1を足した値になっています。
タイルBの枚数は一つ前の和の数字ですから、9番目のタイルBの枚数は8の三角数の4倍に1を足した数です。
8の三角数は、10の三角数55から 55→45→36という引き算で計算する生徒も多いと思います。
ここでは 初項=1、末項=8、数字の個数=8個に対する等差数列の和の式で書いてみました。
{( 1+ 8 ) × 8 ÷ 2 〕 × 4 + 1 = 145
(等差数列の和の計算式は、受験生のレベルを問わず必須の知識です。)
<図形の規則性>に限らず、<周期算>や<場合の数>などは地味コツで数字を書き上げれば(理論的には必ず)正解までたどり着けます。
でも100も200も数字を書き上げるのはしんどいですから、それを楽にするために計算式を覚える訳です。
基本的なレベルの問題では規則性のルールを見つけられているか、そのルールで正解が得られるかを尋ねます。 つまり「分かっている?」という質問をされます。
中堅校の問題では答えを得るのが大変な設定にして、楽をするための計算方法を知っているかを尋ねます。 つまり「計算式を知っている?」という質問をされる訳で、ここで 「数え上げて答えを出す」という解き方に固執している生徒は、篩い落とされる事になります。
もしもこの(2)が、9番目でなく50番目のタイルBの枚数を問う問題だったら、計算で出す解き方を知っていなければ得点できない訳です。
という事で、
(2)まで得点できれば良いという生徒向けに地味コツでとにかく正解を出してしまおうという解き方と、その先の得点力を身に付けなければいけない生徒向けの計算で答えを出す解き方の2種類を説明しました。
さて、
次の「図形の規則性:その3」では、計算式は完璧に身に着けていて今回の(2)なら即応できるようなレベルの受験生に対して、点数の差を付けるための問題が出て来ます。
(3) タイルAがタイルBより1009枚少なくなるのは何番目の図形か。
tea breakさんのブログでは市松模様にして平方数の差を計算するという、実に美しい解き方をしていました。
私は別のルートで解いてみましたので、次の記事で載せます。