凸レンズに代表される光の屈折は苦手に感じる生徒の多い単元です。 なぜ苦手に感じるのか、苦手を克服するにはどのような対策があるのか、考えてみました。 ひとつだけ【作図の書き順】を覚え、ひとつだけ【視点を変えて考える】、それだけで苦手感を克服できた場合が多かったので、紹介します。
【作図の書き順】
以前、天体の動きに関連して透明半球の書き方を説明した時にも、その書き順を手順1から手順9までの9ステップで説明しました。
凸レンズによる光の屈折に関する問題も、書き順が非常に大切です。 透明半球もそうですが図を漫然と書き写しただけの生徒と、書き順を含めてしっかり覚えた生徒では得点力が格段に違います。
凸レンズの書き順については、別記事に書く予定です。
【視点を変えて考える】
参考書に書いてある「像ができます」という表現が、意外なほどつまづきの原因になっています。
「像ができる」でなく「ピントが合う」と考えるのがコツです。 そして「ピントが合っている」とは何なのか、それを詳しく考えてみましょう。
【ピントが合うとは?】
そもそも、物がクッキリと見えるというのはどういうことでしょう?
たとえば鉛筆の先を見ている時、見ているのは鉛筆の表面で反射した光ですが,、鉛筆の表面上の一点から四方八歩に出ています。 鉛筆と観察者の間に霧や、すりガラス等が入ったりして光の出る場所が一点に絞りこめないように見えてしまうのが像を結んでいない状態です。
つまり物体がくっきりと見える、すなわちピントの合った像が見えるというのは、物体の表面上の点から、きっちり四方八方に放射している光が観察者に届いている状態です。
逆に言えば、鉛筆の外形に相当する空間上のあらゆる点から、その地点に対応した光が四方八方にきっちりと放射されていれば、観察者からはそこに鉛筆が有るように見える訳です。 これが凸レンズにおける「正立虚像」なのです。
「正立虚像」および「倒立実像」については作図の書き順にそって説明したいので別稿にゆずりますが、とにかく、像ができるということは、一点から光が放射する(あるいは一点に光が集まる)状態だという理解が作れると、急に苦手感が克服できる、というのが今日の主題です。
ちなみに、
今日の記事で物理に詳しい人には「あれ?」と思う部分が有るはずです。 観察する地点が特定の一点なら、四方八方に光が出ている必要は有りませんよね? その部分については、別記事で「正立虚像」ができる位置を調べるための作図に向けて、意識的にこのように書いています。