算数の上位生は例外なく分数の処理がみごとです。 除算、つまり割り算と分数についての提言と、分数についてこれまで書いてきた内容を整理してみました。
今日書くのは、ここで予告した記事です。
上の記事では「割合」が苦手と言う生徒のさまざまな「苦手のパターン」ごとに、その原因と処方箋を列挙しました。 そして、その記事の最後の方で書いたのが「分数」をつきつめるための視点です。
・分数とは数字である
・分数とは除算である
・分数とは単位の無い数である
・分数とは抽象化された数学の世界への入り口である
これらは大人にとっては「あたりまえ」のことですが、子供にとっては新しく学ぶことであると注意すべきです。
「分数とは数字である」ということを理解しているかどうかは、繁分数の計算をできるかどうかで見分けられます。
分数も一つの数字で有るということを感覚として分かっていれば、分子と分母に公倍数をかけるという処理が自然に出て来る訳です。
ほとんどの人は忘れていると思いますが、繁分数で分子と分母に同じ数をかけるという処理は中一の数学のテキストに載っているのです。 テキストに載っているということは・・・そこまでで習得していない、という証拠ですね。
同様に「分数とは除算で有る」というのも中一のテキストに逆向きの「除算は分数の形で表します」という形で記述のルールとして載っているのです。
つまり、生徒たちの多くは意識的に教えてやらないと「割り算は分数の形にして約分をする」ということをしない、ということですので、注意が必要です。
割り算(および掛け算)を一つの分数にして、 分子と分母を約分して楽をするという計算方法は、思いのほか使わせるのに苦労することが多くあります。
分数を使わずかたくなにステップごとの筆算にこだわるかどうかは、成績の良し悪しとか性格のまじめさとは関係が無いように感じています。 つまり、分数を使わせるための必殺技は、まだ確立できていません。
と言う訳で、分数を使うようにさせるためには、折あるごとに実例を示すということを繰り返しています。 こうすれば楽をできる、ということを何度も見せて納得させる「北風と太陽」作戦です。
以下、これまで分数に関連して書いた記事へのリンクです。
ここで書いている内容は今回とほぼ同じ。 分数の形にして約分する例を白百合学園の2017年(平成29年)の帰国生入試の計算問題で示しています。
こちらでは小4で身に付けておきたい事柄として2つ提案しています。
1)同じ面積なら高さを長くすると幅が短くなるという計算をさせておく
2)2分の1から20分の1まで分母を1つずつ増やした分数を使って小数にできないものを確認しておく