駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

隣は戦友かライバルか

2月1日からの試験期間の3日目や4日目、そこまで苦戦中の生徒への直前特講では受験できる学校名も絞られて来ますから、同じ学校を翌日受ける子が机を並べるシーンもあります。 

 生徒たちは極端にこわばった顔で教室へやって来ます。 あこがれていた学校、保護者から期待されていた学校、ここなら大丈夫だったはずの学校などから何度も何度も「来なくていいです」と告げられて、心が折れる寸前で踏みとどまっている顔をして来ます。 そんな教室で私は冒頭にこんな話をすることがあります。

 

よしっ! 明日への特別講義を始めるぞ。

だけどその前に先生に3分だけ時間をもらう。

今、ここに座っている生徒は戦友か?ライバルか?

もし明日、同じ学校を受けるなら、もちろんライバルだ。

だけど、こう考えて欲しい。 隣に居るのは戦友だと。

たとえば、たとえばだよ。

隣に居るのを蹴落としたとして、順位が上がるのは1つだけ。

だけど戦友として助け合って丸を1つ増やせれば、

1点配点でも何人か、算数で5点増えたら確実に10人以上抜けるんだ。

どっちが得だ。

先生も君たちと同じ受験生だった。

はんぱない努力をしないと入れない中学に行った。

とうぜん、新学期が始まってもまだ全員がガリ勉モード。

テストがあるたびに「何点だった? ねぇ何点だった?」と聞いてまわり、

クラスの中での順位を確認して、有頂天になる者、落ち込む者。

でも5月になり6月になると、一人、二人とそういうのが減って行く。

7月になっても点数で騒ぐやつにクラスでトップ3に入るひとりがこう言った

「いいんだよ。

 俺たち、もう、そういうのはいいんだよ。

 うるさいよ。 おまえ。」

わかるかな。

勉強するのはあたりまえ、そんな集団だからこそ、

自分の好きなことを勉強すれば良い。順位じゃない、隣は蹴落とすライバルじゃない。

そんな雰囲気だったから、算数が好きな生徒は苦手な生徒に教えて、

逆に国語が好きな生徒から教えてもらう。 そんなことがたくさん有った。

だからこそ、難関大学にばんばん合格する学校だった。 すくなくともあの頃は。

今この教室に共に座っているのは戦友だ。そう思って欲しい。

明日の勝ちをいっしょにもぎ取りに行こうよ。 じゃ、始めるぞ。

 

直前特講の途中でトイレ休憩を入れて、教室に戻る寸前に足をとめて中を伺うと

来た時にはこわばった表情で、互いに視線も合わせなかった生徒たちが

額を寄せ合って解き方を教えあっています。 笑顔で。

 

おわりに

直前特講の最後に生徒たちに送ることばです。

 

これにて直前の講義はおわります。

よく頑張って来ました。 

全員が、自分にやれることをやりきった顔になっています。だいじょうぶです。

最後にたいせつな注意をします。

受験は学校と君たちひとりひとりの勝負です。

同じ学校を受験するとわかっても、明日は連れ立って行くな。

待合室や会場で出会っても話をするな。 会釈だけにしろ。

小さく「頑張ろうね」のガッツポーズをするのは許す。

試験が終わっても話をするな。 まっすぐ家に帰れ。

次に君たちが話をするのは、いっしょに合格したことがわかって

その喜びを語り合う時だ。 いいな。

 

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