電気は生徒にとって鬼門のひとつです。 植物や気象などと違って、これまでの人生で実体験に基づく知識が無く、新規に学ぼうにも力学などと違って目に見えない世界の話ですから「苦手」感を持つのは当たり前かも。 今日は電気についてかなりの勉強はしたはずなのに、根本的なところで「判らない」と言ってしまう生徒への、簡単な、とても簡単な処方箋です。 例題は、芝中学の平成25年第1回から大問2番です。
まず、赤色青色の色鉛筆を準備してください。
【問題】 芝中学 平成25年第1回の大問2番
同じ豆電球と同じ電池がたくさんあります。これらを使っていろいろな回路を組み立てまし
た。これらの回路に関する以下の各問に答えなさい。なお、1つの豆電球にいくつかの電池を
直列につなぐとき、豆電球に流れる電流の大きさは、直列につないだ電池の個数に比例するものとします。
(1) 図1の回路に豆電球をつないで図2の回路をつくります。図1の回路のときと比べて、豆電球Aの明るさおよび電池のじゅ命にどのような変化が起こりますか。
下の解答群1、解答群2からそれぞれ1つずつ選んで記号で答えなさい。
(2) 図3の回路に導線を接続して図4の回路をつくります。豆電球Bの明るさおよび電池のじゅ命は、導線を接続する前と比べてどのように変化しますか。
解答群1、解答群2からそれぞれ1つずつ選んで記号で答えなさい。
解答群1
(ア) 豆電球の明るさが明るくなる
(イ) 豆電球の明るさが暗くなる
(ウ) 豆電球の明るさは変わらない
(エ) 豆電球は消える
解答群2
(オ) 電池のじゅ命が長くなる
(カ) 電池のじゅ命が短くなる
(キ) 電池のじゅ命は変わらない
【解説】
まず赤鉛筆で電池や電源装置のプラス極につながっている導線に色を塗ります。
青鉛筆でマイナス極につながっている導線に色を塗ります。
色を塗るのは導線が豆電球とか電熱線とか電圧計にぶつかる所までです。
電流計は導線とみなして色を塗り続けます。
やる事はこれだけです。 例題に色を塗った図を示します。
(1) 図1も図2も豆電球Aは赤色と青色の導線に直接はさまれていますので
(ウ) 豆電球の明るさは変わらない
電池からは豆電球2個を明るく点灯する電流が流れ出しますので
(カ) 電池のじゅ命が短くなる
(2) 色を塗ると図4の豆電球Bが赤色と青色の導線に直接はさまれていることが一目瞭然にわかります。 よって図4の豆電球Bは(1)の豆電球Aと同じです。 一方、図3の豆電球Bと電池の間には豆電球2個の並列回路がはさまっていますので、豆電球Bの明るさは(1)の豆電球Aよりもあきらかに暗くなります。 図4の方が明るいわけですから
(ア) 豆電球の明るさが明るくなる
電池から見ると図4は図3よりも回路全体の電気抵抗が小さいですから
(カ) 電池のじゅ命が短くなる
どうでしょう? 色を塗るだけで、とても見通しが良くなりませんか?
自宅での学習で色塗りをしておくと、試験の際にも黒鉛筆で回路をなぞるだけでプラス極とマイナス極につながった導線が頭の中で見えてきます。
名づけるなら「赤えんぴつ青えんぴつのワザ」
ただし、この技を使う前に電気に関する基本的な関係式は暗記が必須です。
関係式も覚えずに電気の問題を解こうとするのは、英単語も覚えずに英文和訳をしようとするのと同じですから。