お雑煮の準備をすすめているお家も多いと思います。 地域によって汁や具に大きな差があるのは良く知られていると思いますが、それを題材とした社会の入試問題が今年(2018年)の函館ラ・サールで出題されました。
【問題】
[2] 次の函館ラ・サール中学校の生徒の会話文を読んで、問いに答えなさい。
まさき君:
なあ、みんなのところのお雑煮ってどんな感じ?
まこと君:
ぼくの住んでいるところでは、しょうゆベースのすま汁に角餅を焼いていれてるよ。
餅以外には( X )、ニンジン、ゴボウなどをいれてるなあ。
あ、そうそう。それらがはいったお椀のものをクルミのタレをつけて食べてるんだ。
しんご君:
えっ!クルミのタレをつけて食べるの!? そんなの聞いたことないなぁ。
ぼくのところも、すまし汁に角餅を焼いていれてるけど、トリ肉に( X )、小松菜などがはいっているぐらいで、具はそんなにないし、そのまま何もつけないで食べてるよ。
たかし君:
ふーん、いろいろなんだね。
ぼくのところは、白みそ仕立てで、煮た丸餅をいれてるよ。
具は( X )、ダイコン、ゴボウかな。
あっし君:
ぼくのところもすまし汁だけどダシはアゴダシといわれているトビウオを乾燥させたものを使ってるんだ。
餅は焼いた丸餅で、トリ肉、ダイコン、( X )、ニンジンなどがはいってるなあ。
なおき君:
ホントいろいろなんだね。
ぼくのところは、アズキの煮汁に煮た丸餅をいれててあまいんだ。
しんご君:
えっ!それってぜんざいとかおしること変わらないじゃん。
まこと君:
そうだよ。そんなでもお雑煮っていうんだ。
まさき君:
ぼく地元の函館出身だけど、くじらの塩漬けやダイコンなど野菜がはいったくじら汁に焼いた角餅をいれてるなあ。
りょう君:
おいおい、なに楽しそうに話してんだよ。
まさき君:
えっ?みんなの出身地でのお雑煮について、どんな具が入ってるとか、どんな味付けになってるとかを話してたんだよ。
ひろし君:
おもしろそうだなあ。ぼくたちにも話させろよ。
りょう君:
ぼくのところの香川県では、白みそ仕立ての汁にあんこのはいった丸餅ががはいっているよ、
「うどん県」と発表するぐらいうどん好きの人が多くて、沿岸には工業地帯がひろがってるよ。
ひろし君:
ぼくのところの長野県は海がないので、日本海から運んできた塩ぶりをいれたすまし汁に焼いた角餅がはいっているよ。
むかしは養蚕がさかんで、いまは[ ② ]。
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たかし君:
ひゃー、ひとくちにお雑煮って言っても、いろいろたくさんあるなあ。
まさき君:
ところで、なおき君はぼくと同じ北海道身なのに、なんでお雑煮の中身がちがうんだろ。
なおき君:
それはね、ぼくの先祖が( Y )から北海道にやってきて、もともといたところのお雑煮を伝えてきたからじゃないかなあ。
まさき君:
( Y )って、どんなところ?
なおき君:
ぼくの先祖が住んでいたところには日本有数の砂丘があって、らっきょうや日本なしの生産がさかんなんだ。
また松葉ガニの水あげが多いね。
西部には『ゲゲゲの鬼太郎』の作者として有名な水木しげるさんの生まれたところがあるんだ。
しんご君:
そうかぁ。いま住んでいる地域の人達が全郁同じお雑煮を食べているわけでもないっていうことだね,
たかし君:
なんかお雑煮の話してたらおなか空いてきちゃった。
今日の寮の献立なんだったっけ?
あつし君:
しまったぁ!チェックしてなかったあ。
苦手のだったらヤダなあ・・・。
(※この会話文の中にでてくるお雑煮は、それぞれの地域の一例であって、その地域全体すべてがまったく同ーのものとはかぎりません。)
以上の本分に続く問題としては、次のような設問が並びます。
☆( X )に入る具を選ぶ選択問題(4択:ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、ヤマイモ)
☆登場人物の出身地の正しい組み合わせを選ぶ選択問題
☆( Y )にあてはまる都道府県名は?
☆しょう油、ニンジン、トリ肉、ダイコン それぞれの都道府県別生産量の選択問題
☆香川県の工業製造品などの構成グラフの選択問題
☆[ ② ]に入る現在の産業に関する選択問題
☆他の地域からやって来た人が住んでいることが判る地名の選択問題
☆明治時代に多くの人々が北海道にやってきた理由を書かせる記述問題
どれも良い設問だと思いますが、特に面白かったのは最初の多くの地域で具として入れているイモは何かという問題でした。 サトイモは太平洋の多くの島で食べられているタロイモの系統ですから、日本人のルーツにも関わる食文化ですね。