過去問の演習を始める時期に関しては色々な説を目にします。 演習を始める時期はいつが良いのでしょう? 開始時期について考えを書き、解答用紙の例として2018年(平成30年)の学習院中等科のイメージを載せました。
特定の学校への進学を売りにしている塾では最初っから歴代の過去問をひたすら解かせるところもありますし、小6の秋も深まった頃まで手をつけさせない塾もあります。
一般論としての最適時期というのは無いと思います。
しかし、生徒ひとりひとりにとっての最適時期は有ると考えます。
それは各科目に対して「基礎の再確認」が終わった時期です。
たとえば6年生の一学期までに受験単元の導入が終了し、夏期講習で全範囲の再確認を行うという塾ならば、9月初頭から演習スタートが適切だと思います。
そのような塾に在籍していても、全範囲の確認が前倒しで5月連休頃までに終わっているなら6月にスタートして良いと思いますし、逆に9月に入っても苦手単元の克服が終わっていないなら、先生と相談した上で克服が終わってからにすべきです。
そのような目安で開始時期を考えたいですが、受験する学校の出題に癖がないかを保護者(と塾の先生)が事前に確認し判断するのがベストだと思います。
《出題の癖の例》
学習院中等科の解答用紙です。
一番上の行に、こうあります。
(注意) (式) と書いてあるところは、式や考え方を必ず書きなさい。 (式) と書いていないところは答えだけを書きなさい。
文中に「必ず」と書かれています。 明確な指示が有りますから「指定された枠の中に」「問題文から解答に至る過程を」「採点官に分かるように」記述しなければ合格点は取れません。
加えてこの学校の算数の問題には解く過程で細かい整理作業が必要になる物がけっこうあり、それを狭い枠の中に書かなければなりません。
つまり、自分の考えを試験時間の制限内に整理して、きちんと表現する練習が必要ということです。
記述の練習は短時間ではできませんから早い時期に開始したいですが、それは過去問の演習を早い時期から始める必要があるという訳ではありません。 テキストの問題を解くときに狭い枠の中に途中式をきちんと書く練習をすれば、用は足りるということです。
単元の抜けに対策して基礎を固める前に過去問の演習を始めた場合、何が危険か。
私が生徒から一度ならず聞いたセリフ・・・「これ、僕が受けるがっこうには出ないから。」
この思い込みモードに入った生徒に軌道修正をさせるのは、かなり苦労します。