公倍数を使う問題で、正答率を下げるために「あと△を足せば倍数になる」という解法を使わせるものがあります。 過去問の例として、東京女学館の平成22年の第2回入試から大問2番の(2)を取り上げました。
【問題】
貸し切りバスを利用して団体旅行に出かけました。 53人乗りのバス1台では座席がたりないので、53人乗りのバス2台を利用しました。 ホテルに到着し、1部屋6人ずつ入ると1部屋だけ5人の部屋ができ、1部屋7人ずつ入ると1部屋だけ6人の部屋ができ、空き部屋もできました。 この団体旅行の参加者の人数を求めなさい。
【解説】
バスが1台では足りず、2台なら足りるという情報から、生徒の人数の範囲がわかります。 1台では足りませんから 53 + 1 = 54(人)以上、 2台なら足りるので 53 × 2 = 106(人)以下です。
続いて、実際の生徒の人数を求める操作を行います。
もしもこの問題が「1部屋6人ずつでも7人ずつでもぴったりでした。」と書かれていたら簡単ですね。 6と7の最小公倍数は42です。 54以上 106以下にある42の倍数は84、これが答えになります。
今回の問題では、どちらの場合でも「あと一人増えたらぴったりでした。」ということを「1部屋だけ5人」とか「1部屋だけ6人」という表現にして分かりにくくして、さらに7人部屋の方は空き部屋もできたという余計な情報を付けて目くらましをしています。
この順番で解説を見たら簡単ですね。
正解は、範囲内にある6と7の公倍数より1人少ない
83 (人) です。
公倍数を用いる問題には、この「あと△を足せば倍数になる」という出題がけっこう有ります。
例えば 「7で割ったら5あまり、8で割ったら4あまり、9で割ったら3あまる」という整数を求めさせる問題などです。