駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。駒澤大学とは関係ありません。

直線上の円の転がり移動

昨日の記事「扇形や円の問題と図形の回転移動」の最後で書いた、直線でも、おうぎ形の弧でもない曲線上の動きをする点の話です。 取り上げた過去問は 聖光学院 2009年(平成21年)第1回入試の理科から 大問4番 です。

 【問題】

いろいろな物体の運動について調べました。 次の(1)~(5)の問いに答えなさい。

(1) 図1(省略)のように、肩の上から、斜め上に向けてボールを投げました。 手を離れてから、ボールはどのような線を描きますか。 あとの(ア)~(オ)の中から、最も適したものを1つ選び、記号で答えなさい。

(2) 図2(省略)のように、下から斜め上に向けてボールを投げました。 手を離れてから、ボールはどのような線を描きますか。 あとの(ア)~(オ)の中から、最も適したものを1つ選び、記号で答えなさい。

【解説】 図は省略しますが、出題の意図は明確ですね。 どのように投げようとも、ボールの飛ぶ軌跡は「放物線」です。

 

(3) 図3(省略)のように、バネの先端につけたペンを下まで引っ張って、手を離すと、ペン先が一定の幅で上下に震動しました。 そして、振動するペン先が紙に当たるようにして、紙を水平に一定の速さで動かしました。 このとき、紙にはどのような線が描かれますか。 あとの(ア)~(オ)の中から、最も適したものを1つ選び、記号で答えなさい。 ただし、ペン先は上下方向だけに動くようになっています。

【解説】 これも図は省略します。 この軌跡は「正弦波」になります。

 

ここまでがいわば「導入問題」です。

次の(4)と(5)でいきなり難易度が跳ね上がります。

この2問の解説は問題の紹介の後にまとめて書きます。

問題にチャレンジしてから読んでみることをお勧めします。

 

(4) よくはずむスーパーボールを回転させながら真下に落とすと、図4のような線を描きました。 次に、図5のように、スーパーボールを回転させながら斜め上に投げたとき、1回目にはね返ったあとで、スーパーボールはどのような線を描きますか。 あとの(ア)~(カ)の中から、最も適したものを2つ選び、記号で答えなさい。 ただし、空気による抵抗はありません。 また、(ア)~(カ)の中の黒丸は、スーパーボールを回転させずに投げたとき、1回目にはね返る点と、2回目にはね返る点を表しています。

(5) 図6のように、自転車の後輪の一番外側にシール1をつけ、後輪の中心と一番外側の中間点にシール2をつけました。 自転車が一定の速さで走っているとき、あとの(a)・(b)の問いに答えなさい。

(a) シール1はどのような線を描きますか。 あとの(ア)~(カ)の中から、最も適したものを1つ選び、記号で答えなさい。

(a) シール2はどのような線を描きますか。 あとの(ア)~(カ)の中から、最も適したものを1つ選び、記号で答えなさい。

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【解説】

(4) 回転をつけて斜めに投げ上げたスーパーボールのはね返り

スーパーボールという玩具が登場したのは私が小学校に入学した前後の頃だったと思います。 最初は今のようなカラフルな物では無く、濃紺の直径5センチくらいのゴムボールでした。 かなり高価な玩具だったはずです。 イトコが買ってもらったのを投げさせてもらって物凄く弾むことにびっくりした記憶が残っています。

今では縁日のスーパーボールすくいとか、手軽に入手できるようになって珍しさは薄れてしまいましたが、そんなスーパーボールで回転をつけて弾ませた時の動きに「あれっ?」っていう驚きをもった生徒を聖光学院は欲しいんだな、そう感じさせる出題です。

驚きとは?

この問題で正解の候補を2つ選ぶのは、実は難しくありません。

投げる方向に対してバックスピンをかけている訳ですから、1回目から2回目までの飛距離は、スピン無しの場合よりも絶対に短くなります。 つまり、同じ飛距離である(ア)、(イ)、(ウ)は候補から消せ、また(カ)は余計に遠くまで飛んでいますから、これも有り得ません。

つまり正解の候補は(エ)、(オ)の2つなのですが、スーパーボールで遊んで驚きの記憶を持っていない子は(オ)の図を見て混乱してしまうわけです。 えっ?1回目のはね返りで自分の方に戻って来て2回目で前にポーンって進むって?そんな馬鹿な。という感じで。

という訳で正解は  (エ)、(オ)   (要完答、不順可)

 

(5)の(a) 円周上の点の転がり移動の軌跡

これが昨日のブログ記事で書いたA2からA3の動きの曲線ですね。 サイクロイド曲線といいます。 wikipediaサイクロイドを検索すると動画で見ることができます。

円周上の点の場合、その点は必ず直線に触れます。 よって候補は(イ)、(エ)、(カ)の3つに絞られます。 さて、その3候補の中のどれか。 円周上の点とは何でしょうか? 自転車のタイヤの表面のひとつの点ですよね。 その点が地面に触れる瞬間というのは(イ)のような一瞬間です。 決して(エ)や(カ)のようなこすり付けるような動きではありません。

という訳で正解は  (イ)  

 

(5)の(b) 半径の中点の軌跡

シール2が最下点に来たとき、シール2は車軸に対して相対的に後ろ方向に動いています。 したがって地面から見たシール2の速度は車軸(=自転車全体)より遅くなります。 つまり(ア)は有り得ないということです。 では単に遅くなるだけの(ウ)なのか、一瞬戻る動きになる(オ)なのか。 

車軸とシール2とシール1のごく短い時間での動きを図にすれば、ピラミッド形の三角形の相似の図になります。 その図からシール2の速度は車軸の速度より確実に遅いということが分かります。 従ってシール2が戻る動きの(オ)は有り得ません。

という訳で正解は  (ウ)  

 

ちなみに、この問題、東京学参の問題集では(ア)が正解になっていました。

版を重ねた学習参考書では間違いが残っていることは少ないですが、過去問集ではたまにあります。解説の正解が納得できない場合は悩み過ぎずに先生に相談することをお勧めします。