小5の夏。 算数では、いよいよ比の導入が近付いています。 私が、比の学習の準備として習熟度を上げておきたいと考えるのは2つ、「割合」と「分数」です。 分数とは何か。 何をしておくべきか。 今日はその話題です。 取り上げる例題は 白百合学園の2017年(平成29年)帰国生入試からの、計算問題です。
比の導入の単元は、サピックスは夏期講習中、四谷大塚は夏期が明けてすぐ、他の大手塾でも2学期の中盤前に設定されています。
比の学習は、ここで「考え方の抽象度」がぐぐっと上がりますので、6年生に至る成績動向を決定付けかねない重要な時期が来るということです。
その前に習熟度を上げておきたいのは「割合」と「分数」ですが、割合については稿を改めるとして、分数についてすぐに出来ることを提案します。 これから比を学ぶ小5だけでなく、小6の算数を苦手としている生徒にも有効な対策になるはずです。
そもそも 『分数』 とは何でしょう?
・分数とは数字である
・分数とは除算である
・分数とは単位の無い数である
・分数とは抽象化された数学の世界への入り口である
小学生が 『数』 を学ぶのは 『整数』→『小数』→『分数』の順番です。
小学校低学年では『正の整数』を学びます。・・・リンゴは何個?の世界ですね。
小4になると身長や体重などの連続した量をあらわす数として『小数』を学びます。 この段階でついて行けない生徒は多くないです。 注意が必要なのは小数同士の割り算で余りの出る計算ぐらいですね。
そして登場するのが『分数』・・・ここで算数が嫌いになる子が多いのは、分数とは「数字」であり、かつ「割り算」であり、そしてまた「比を表す数」でもあるため、頭が混乱するせいです。
算数(および数学)は、具象的な数から抽象的な数に段階を踏んで学んで行く学問です。 その最初の壁が分数です。 まじめな性格の生徒ほど、この壁を高く感じるのではないでしょうか。
「授業をしっかりと聞きなさい。」
「まじめに聞けば、わかるはず。」
「わかれば、問題は解けるはず。」
その先に何が来るか 以前に書きました。 komazawajuku.hatenablog.com
さて、分数に関する提言です。 ぜんぜん、たいしたことではありません。
「掛け算と割り算は、分数の形にして、約分して、楽をする。」
単純にこれだけです。 上位生なら当たり前のようにやっていることですが、 もしもやっていないようなら絶対にやらせるべき計算工夫です。
比の導入授業で「割合としての分数」との同一性を説明しても、その「割合としての分数」自体を生徒側が感覚として把握していなければ意味が無いわけですが、体験的に感じるのは普段から乗算・除算を分数にして計算している生徒はするっと比の世界に入って来るということです。
割られる数を分子に、割る数を分母にばっさばっさと割り振って行く作業そのものや、公約数を見つけて約分して行く作業などが比の取り扱いと通じるものが有るのでしょうか、感覚の世界の話なので論理的な分析はしませんが、あきらかに相関性が高いです。
まあ、四の五の言う前に計算では分数の形を活用するべきです。 速いし、楽だし、ミスも減りますから。
例として取り上げたのは白百合学園の帰国生入試です。 計算問題が10問、一行問題が4問、大問が3問で、大問は途中式必須という問題構成ですが、10問も出される計算問題はかなり高レベルです。
【問題】
( 1.44 × 6.6 × 18 ) ÷ ( 2.4 × 0.8 × 1.98 )
【解説】
答え 45