駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

わかった?という質問

私は集団クラスの授業でも生徒との個別対応でも「わかった?」という質問をしないよう気をつけています。 そして、本人が「ここがわからない。」と尋ねて来ても、実はわからない原因が別のところに有る場合がけっこう有り、それが対面でやりとりをする指導での醍醐味のひとつだと考えます。

 

そもそも「わかる」って何でしょう?

おとなの感覚だと「わかる」とは「次の機会には自分の力で解決できる」と同じですよね。 「わかりましたぁ」と言った奴がその仕事を出来なかったら 「だったら、わかったとか言うな!」と叱られるのがあたりまえ。

ところが子どもの場合だと、「自分が疑問に思ったところ」を解決してもらった段階でわかりましたと言って去って行く場合がとても多いです。 もちろん問題を解けるようになるためには何が足りないのかを真剣に尋ねてくる生徒も居ます。 って言うか、その質問ができるようになったら初めて一人前の受験生になったと言えます。

 

私も、すごく忙しい時にはパパっと解法を示して「これでいいかな?」と尋ねて終わることもあります。 心の中で謝りながら。 

しかし、通常の質問の受け方は、こんな感じです。

 ・問題を把握しているかの確認

 ・自分で解いてみようとした跡を見て、どこまでわかっているかの確認

 ・解説を読んだか、どこからわからなくなったかの確認

このような流れの中でその生徒がどこでつまづいているか見えて来ますので、ステップを踏んでヒントを示し、解法の入り口まで進んだら残りは生徒自身にやらせてみます。 たいせつなのは、その生徒が自分では出来ないところだけ、そっと背中を押してやることだと思います。 

 

質問に来た生徒の演習跡を見て、あれ?と思うことがあります。 なんか全然筆跡の違う途中式が書かれている。 しかも生徒本人が書いた跡が無い。 そういうときに「これ、お父さんに教わったの?」と尋ねると嬉しそうにうなずいて「はい。だからこれはもういいです。」と返ってくる。 じゃぁって感じで問題だけを見えるように隠して本人に解かして見ると、解けない。

 

このパターン、けっこうあります。 ご自宅でお父さんが質問される・お父さんがぱぱっと解いて答えが出る・子は「わかった」と言って満足して戻って行く・おしまい、という経緯が目にうかびます。 実を言えば私自身が中学受験の勉強をしている時期の我が家がそうでした。 解けない問題を父に尋ねると目の前で解いてくれて(しかも方程式で)、それでおしまいという対応ばっかりでした。 今から振り返ってみると「あらら」という対応ですけれど、これが一般的な姿だと思います。 たとえば高校受験や大学受験の勉強なら目の前で解いてもらえれば後は本人が学習できるでしょうけれど、中学受験では難しいということを大人側が知るべきです。 

 

教える側の指導経験が豊富ならば、「わかった? よし、じゃぁ△△ってのは・・・」と、関連した質問をしてみられれば更に効果は高くなります。 

 

問題を解くという行為は正解を出すのが目的ですが、宿題の演習や確認テストにおいて解くという行為は目的ではなくて手段です。 この認識が子どもにはできていません。 大人からの指導がたいせつだと思います。

 

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