<消去算>と呼ばれる問題には<加減法>と<代入法>の2つの種類があります。 前回<加減法>について<表>で解く方法を書きました。 今日の<代入法>は式の変形で解いた方が楽かも知れません。 例題は 東洋英和の2010年(平成22年)B日程、 大問4です。
【問題】
えんぴつ6本とノート3冊を買ったら、代金は630円でした ノート1冊の値段は、えんぴつ1本の値段の3倍より15円安いです。 ノート1冊の値段はいくらですか。
【解説】
式の変形を使う方法と、表を使う方法の2つを書いてみました。
【式の変形を使う解説】
鉛筆1本の値段を【え】、 ノート1冊の値段を【ノ】とすると、問題文から2つの式を作ることができる。
【え】× 6 + 【ノ】× 3 = 630
【ノ】 = 【え】× 3 - 15
問題はノート1冊の値段を尋ねているので、630円になる式から鉛筆を消してノートだけにしたい。 そのために鉛筆1本の値段をノートの値段で示す式を最初に作る。
まず15円という値段を等号の右から左に移して、 【ノ】 + 15 = 【え】× 3
よって鉛筆1本の値段は、 【え】 = ( 【ノ】 + 15 ) ÷ 3 となる。
この式を使って、630円の式の中にある【え】を置き換える。
【え】× 6 + 【ノ】× 3 = 630
{ ( 【ノ】 + 15 ) ÷ 3 }× 6 + 【ノ】× 3 = 630
【ノ】÷ 3 × 6 + 15 ÷ 3 × 6 + 【ノ】× 3 = 630
【ノ】× 2 + 30 + 【ノ】× 3 = 630
【ノ】× 5 + 30 = 630
【ノ】× 5 = 630 - 30
よって 【ノ】 = 120(円)
この中で使っている式の変形は、次の3種類です。
その1:項を右辺と左辺の間で移項するときは符号を逆にする。
その2:分配則 (カッコをばらす操作)
その3:結合則
たしかに難しい操作ではありません。 と言うよりむしろ、受験生なら着実に身に付けておかなければならないスキルです。
【表を使う解き方の解説】
この解き方と式の変形を使う方法のどちらが楽かと聞かれると、迷います。
ですが、これは断言したい。 表の方が見通しが良い!
見通しが良いから、分かりやすい、ミスも減らせる! ・・・でも手間がかかる。
という訳で、私も<消去算・代入法>では式の変形を使う場合が多いです。 どうしても分からないという生徒が質問に来たときには、表を書いて説明することもあります。 たとえ1分ほど余分に時間を使っても、丸をひとつ増やさせたい生徒が居たときに表は有効でした。
ちなみに、
今回の例題で私は、鉛筆1本の値段をあらわす式に変形してから代入しましたが、参考書の解説ではほとんどの場合にノート1冊の値段をあらわす式を630円の式に代入しています。
これ、どちらの流れでも定数項の移項はどこかで一回は発生するわけで、ノートの値段から鉛筆の値段に換算する分、処理の手間が一回増えるのが無駄に思えます。