駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

上手な記憶法:門前の小僧とアンパンマン

暗記が苦手だという子がいます。 それはおまえのやる気が無いからだと叱りつける先生がいます。 暗記が好きだという子がいます。 一目見て覚えてしまうタイプではありませんが、コツコツと覚える作業をし、テストで良い点を取って実に嬉しそうな表情を見せてくれます。 その差は何でしょう?

 以前、常駐者をいれて数十人規模の部門長をしていたころ、途中入社の新人が職場に加わる日が決まると、その直前の職場会議で次のような指示をしていました。

「○月○日から△△さんという人が加わる。 その日から一週間はアンパンマンモードで行くので協力よろしく。」 

伸び盛りの会社で中途入社の頻度も多かったので職場のメンバーの何人かは「まーた部長が何か言っているよ面倒くさいなぁ」という顔をしていましたけれど、途中入社で加わった人からは後で「とても助かりました」と言われることが多かったです。 

 

アンパンマンモードとは何か。 簡単です。 誰かに話しかけるときは必ず相手の名前を呼んでから話し始める、ただそれだけです。 それを一週間、職場の全員がやるわけ。 

 

思い付いたのはまだ家の子どもが小さかった頃、自宅で新聞を読みながら遠くのテレビの画面がちらりと目に入った時です。 画面の中で帰宅したアンパンマンジャムおじさんに話しかけていたんです「ジャムおじさん、外は雨になりそうですよ。」って。

あれ?って思った。 ジャムおじさんアンパンマンって家族同然だよね。 部屋の中にはジャムおじさんアンパンマンしか居ないよね。 なんでわざわざ名前を呼んでるのだ? 

あらためて意識して登場人物達のセリフを追ってみると、日常生活ではあり得ないくらい相手の名前を呼んでから喋ってるシーンが多い。 そして他の作品でも多いことに気付いた。「ピカチュー、君に決めた!」とか「ねぇねぇ、小五郎のおじさん。」とか。 なるほどね、チラチラと視界の隅に飛び込んで来る程度の番組でも名前とキャラが覚えられてしまうのは、こういう事か。 これ、使えるじゃん!ってのがきっかけ。 

 

私、人の顔を覚えるのが苦手です。 転勤とか転職などで新しい職場に入るときは毎回苦労しました。 担当する業務を覚えることに専念したいのに、たくさんの顔と名前の暗記まで手が回らない。 不器用なものなので。 そんな時に相手の名前を呼んでから話しかける癖のある人は、とても有り難い存在でした。 苦手な顔覚えに役立つ「刺激の繰り返し」を与えてくれる嬉しい存在として。 

 

塾で新しくクラスを担任するとき、よく「門前の小僧お経を覚える」の話を生徒にします。 

☆繰り返し刺激を受ければ、子どもってのは必ず覚えてしまうものなのだ。 

☆一回で覚えられると思うな、五回書いて覚えられなければ十回だ、十回で駄目なら二十回だ。 

☆脳細胞がどんどんシナプスをつないでいる子どもなら、いつかは必ず覚えられる。

☆覚えるときに嫌だとかつらいと思わなければ覚えることの速度が上がるよ。 

 

叱るのは「覚えられなかった時」ではなく「覚えようともしなかった時」にするために、できるかぎりの工夫をしてあげたいと考えます。 

覚える→褒められる→嬉しい顔になる、の前向きなサイクルを回すために。

【繰り返しの回数は足りているか】

【覚えることを楽しみにさせようとしているか】

 

【無駄に全部を覚えさせようとしていないか】・・・これは5月28日に書きました。  komazawajuku.hatenablog.com

 

 

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