ある時、分数の約分がひどく遅い生徒がいました。 解こうとする生徒の手元と表情を見ていて思いついたのが九九を逆に暗唱するという計算速度向上法、名づけて「逆九九」でした。
うわぁ、先に謝罪します。 この稿を書くにあたり「逆九九」で検索してみたら、大きい数字から先に言うのを一般に逆九九と呼ぶみたいでした。 これまで間違った名前で教えて来た生徒たち、ごめんね。 大きな実害で出てないと思うけど・・・
私が逆九九という名称で生徒に練習させていたのは、答えを先に+順番も逆にして九九を暗唱して行くというものでした。
「81が9,9 72が9,8 63が9,7 54が9,6 ・・・ 」という具合に。
順番も逆にするのは、普段どおりの順番だとけっこう答えを覚えてしまっているからです。
これ、歩きながらでもできるので、まずご自身で試してみてください。 けっこう、きついですよ。 特に運転中は絶対に試さないでくださいね。 意識がそれて危ないです。(体験談?)
大人は普通の九九の暗唱が記憶に染み付いてしまっているので、どれだけ練習しても頭の中でいったん普通の九九を思い出してそれを声に出すという手順を脱するのは難しいと思います。 でも子どもはまだ脳が柔軟なので、九九の表を見せながら繰り返し暗唱させて行くとどんどんスピードが速くなります。 つまり、81までの数字なら見た瞬間に約数が頭に浮かぶようになる訳です。
この練習法を思いついたのは、ある生徒の質問対応で説き方のヒントだけを教えて、答えは自分で出してごらんと言って計算の手元を見ている時でした。
私は生徒が解いている手元を見るのが好きです。 どんな流れで解いて行くか、どこで手が止まるか、より良い指導をするためのヒントがもらえた時は心の中で感謝の言葉を唱えてます。
その生徒は「27分の72」といった分数の約分で鉛筆の動きが止まりました。 でも口元が何かを唱えるように動いていて、鉛筆を持つ手もぴくぴく動いている。 何をしているんだろうと見ていいてぴくぴくから紙に字を書くタイミングで気付いた。 空中で割り算の筆算をしているんだ。 分子、分母を2で割る。 分母が割れない。 分子、分母を3で割る。 今度は割れた。 を繰り返していたわけ。
ということは、この子は数字を見てすぐに約数を思い出せれば、劇的に計算が速くなる可能性があるわけだ。 これは凄いヒントをもらった。 ありがとう! という経緯です。
どのくらいのレベルまでさせるかという基準は私はまだ持てていません。 とりあえず九九の表を見ながら声を出して読み上げるのを繰り返させて、表を見なくてもつっかえずにひとつの段を数十秒で暗唱できたら合格というのが第一段階の目安かな?と思います。