駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

割合の問題はクチビルを作ろう

② + 2 = ⑤ - 4 を式の変形(移項)を使わずに解く方法と、それに使う<線分図>の話です。 算数がちょっと苦手な生徒に<割合の線分図>を書かせるときのコツも書きます。

 【前回の記事から】

② + 2 = ⑤ - 4 という等式から①を求める問題は大人なら簡単ですね。

移項して 2 + 4 = ⑤ - ② にすることで ① = 2 だとすぐわかります。

これを式の変形(移項)を使わずに解きなさい、ヒントは<線分図>。というものでした。

 

【解説】

 <線分図>の前に習うものとして<ムカデ図>を書きました。 式の中の②とか⑤というのは「比の数字」ですから①に相当する実際の量は図を書いた時点では判りませんが、②の中の①と⑤の①は同じ大きさです。 図ではそれを区切りひとつ分の長さとして表しています。 <割合>の概念を習う前にこの図を学んでおくと理解がスムーズになりますが、丸数字の大きさが50にもなる時点でまだこれを使っていると本当にムカデの絵になってしまうので<線分図>への切り替えは必須です。

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イメージの下半分は<線分図>です。 

手順1: まず ② + 2 の線分を書きます。

手順2: 線分を延長して⑤を書き、そこから戻る形で ② + 2 の長さまでを4とします。

手順3: 線分図の中で丸の数字と実際の量が一対一になる場所を探します。 これで完了!

丸の数字と実際の量が一対一になる場所を強く意識させるために、線分図の中に太い線で印を付けさせ、同時に<クチビル>という呼び名を繰り返し連呼してイメージを定着させます。

 

ここで<クチビル>を作った<線分図>をもう一度見てください。 丸の数字で『?マーク』が入っている長さは何でしょう? ⑤ - ②の③ ですよね。 では実際の量の『?マーク』が示す長さは? 2 + 4の6 です。 お気付きですね? ここでは<線分図>という目に見える長さを使って、比と実際の量の関係式を変形するのと同じ処理をしているのです。

 

今回の例題の<相当算>は簡単なので移項を使って解ける生徒もいます。 しかしちょっと複雑な式になると、負の概念を学ぶ前の子にとって<移項>というのは大人が考えているよりもずっと難しい処理です。 解き方が判らないと質問に来たときに 「まずはこうやって式を立てて、丸の数字を左に集めて・・・ほーら、答えが出た。簡単だろ。」 という対応をして良いのは、たとえば公文の数学でいえば最低でもG教材、できればH7あたりまで終わらせた生徒だけだと考えます。 そうでないのなら、受験算数を教えましょう。

受験算数の方が、速いし、間違いも見つけやすいし、判りやすいし、楽だからです。

 

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