駒澤塾:中学受験の算数・理科

中学受験の算数・理科を中心に書いて行きます。駒澤が旧字体なのは検索をしやすくするためです。

たかがテントウ虫されどテントウ虫

私が<テントウ虫>と呼んでいるのは、A × B = C の関係を楕円の中をT字形に分割した図で表したものです。塾や先生によって<きはじの図>、<はじきの円>、<みはじの図>、<T字図>、<ドラ鈴>など、いろいろな呼び方をされています。この解法、すっごく嫌われてます。今日の話題はこれについての私の意見です。

 【きはじが嫌いな人たち】

いやぁ、改めて思いました。 この<きはじの図>は嫌われ方が凄い、まったく意味の無い丸暗記学習の象徴とまで言い切る人もたくさん居られました。 嫌っている人に共通して感じたのは、このツールを暗記の道具としか見ていないってこと。

検索をすすめて知って驚いた。これ、公立の小学校で速さの3公式を覚えられない子に丸覚えさせるために使ってたのですね。 さらに腰を抜かしたのは、たかだか<きはじ>を覚えるための暗記法すら存在してるってこと。 「木の下で恥をかく」(=「きょり」の下に「速さ」と「時間」を書く)という覚え方を小学校で教えてたそうです。 なるほど、これじゃ嫌われるのは当たり前かも。

 

【暗記の道具ではない!】

<きはじの図>私の呼び名で<テントウ虫>は A × B = C の関係を覚えるために「も」役立ちますが、それだけではもったいないです。<テントウ虫>の上側にある項目と下の2つはどちらも正比例で、下の2つは反比例です、これを使うことで算数の文章題や理科の計算問題を解くときに「最初の一歩のヒント」を見つける役に立つのです。算数についての利用例を明日の記事で掲載します。

 

【導入は長方形の面積で】

 なぜ「木の下で恥を書く」なんていう暗記法を使わなければならないかと言えば、いきなり馴染みの無い「速さの3公式」から教え込もうとするからです。 私は<テントウ虫>そのものの導入を長方形の面積を使って教えることにしています。 長方形の図を書いて辺の長さと面積の数字を書き込んでから、上に「面積」、下の2つに「よこ」「たて」とした<テントウ虫>を書き、実際の数字を計算させてみることで<テントウ虫>ひとつで3つの式を表していることを実感させます。

面積 = たて × よこ

たて = 面積 ÷ よこ

よこ = 面積 ÷ たて

この時点で受験塾だと大多数の生徒が「なにそれ?あったりまえじゃん?」って顔になるので、口頭で「面積が一定で横の長さを2倍にするとたての長さは?」といった質問を投げて答えさせます。その質問によって項目間の正比例・反比例の関係に気付かせて導入授業はおしまい。最初に<テントウ虫>の構造を教えて、その後にいろいろなパターンでその構造に入って来る項目名を覚えさせて行くという順番です。

 

【きはじ? はじき?】

実は私も<はじき>という呼び名を使っていたことがありました。 単純に口調が良いという理由でした。 今はかならず<テントウ虫>の上側にある項目から始まる呼び名で示すようにしています。 

慣れない言葉でとっつきの悪い<割合>の第一用法から第三用法も、「くもわ」の連呼と瞬時の即答が返ってくるまで質問を繰り返すことで浸透させることが出来ます。 最初に来る「く」(=くらべる量)が<テントウ虫>の上側にある項目だと判れば3本の式は容易に出て来ますから。

割合の第一用法: 割合 = くらべる量 ÷ もとにする量

 

割合の第二用法:  くらべる量 = もとにする量 × 割合

 割合の第三用法: もとにする量 = くらべる量 ÷ 割合

割合の第三用法は<相当算>という呼び名がついています。呼び名がつくということは小学生にとっては難しい単元だということですが、<割合のテントウ虫>が即答できる生徒は「え?なんで?どこが難しいの?」という表情になります。

 

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